1820.2012年5月7日(月) 緊縮財政は大衆受けしないのか。

 やっと今年の長いGWが終わった。その最後っ屁のように茨城県つくば市を昨日昼竜巻と雷雨が襲い、890棟の民家が被害に遭い、中学生が倒壊家屋の下敷きになり亡くなった。北アルプス・奥穂高岳では今日2人の男性登山者が滑落して亡くなった。連休中北アルプスで遭難した登山者は10名になった。各地の高速道路では交通事故も頻発し、いつもながらあまり目出度い連休とはならなかったようだ。

 さて、注目されていたフランス大統領選挙の決戦投票が行われ、現職のサルコジ氏が左派勢力・社会党フランソワ・オランド氏に敗れた。現職大統領が再選で敗れたのは、ディスカール・デスタン元大統領以来のことであり、ミッテラン元大統領以来17年ぶりに左派系大統領が誕生することになった。

 ギリシャ経済危機に端を発したヨーロッパ経済不況の中で、復興のためサルコジ大統領はドイツのメルケル首相とともに主導的な役割を果たしたが、国内の緊縮政策に伴う失業率が10%台となり、雇用不安から国民の間に反発が出て、不本意ながらフランス・トップの座から降りることを申し渡されてしまった。

 第1回の予備選では1位オランド氏とサルコジ氏の獲得票差は7ポイント程度あったが、決戦投票では僅か3ポイント強の僅差まで迫り、サルコジ氏としては何とも諦めきれないものがあるだろう。多くを語らず政界からの引退をほのめかしている。オランド氏はこれからフランス、そしてヨーロッパ経済の不況からの脱却に腹を据えて取り組まなければならない。ドイツとの連携もサルコジ氏だからこそできた側面もあり、フランスにとってはこれからが正念場となるであろう。それにしてもこの5年間、世界にフランスの存在感をアピールしたサルコジ大統領が表舞台を去る。私生活においてもとかくの噂があったが、その背中には一抹の寂しさが漂う。

 フランス大統領選挙と轡を並べるように、経済不況の元凶でもあったギリシャでも昨日総選挙が行われ、フランス同様緊縮財政に反対する政党が躍進した。経済引き締めにより失業者の数が増大し、若者の2人に1人が失業という地獄図絵である。これにはきれいごとなぞ言ってはおられなかったのだろう。連立与党が過半数割れとなった。

 しかし、国民が異を唱えた緊縮財政はギリシャにとってEUから支援を受けるための、いわば条件のようなものではなかっただろうか。これにNOのシグナルを出すことは、支援を受けないことを表現することになるのではないだろうか。難しい問題である。

 ヨーロッパ経済の信用不安からユーロが下がり、円高が進み、東証日経平均株価は今日一日で261円も下がる今年最大の下げ幅となった。日本にとっても不安材料が増えた。この調子ではまだまだ先が見通せない。のんびりしているのは、日本の愚かな政治家だけだ。

2012年5月7日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com