1841.2012年5月28日(月) 原発事故の消えない不安

 福島原発事故に対する検証と再発防止に関する調査がいろいろな形で進められている。すでに「福島原発事故独立検証委員会」なる民間の調査・検証報告書が出され、私もその分厚い調査書を入手し、ぱらぱらと目を通した。一部には民間事故調と言えども、必ずしも公平ではないとの意見も聞かれる。

 昨日国会事故調査委員会が開かれ、事故当時官房長官だった枝野幸男・経済産業相を参考人として出席した。枝野氏はメルトダウンの公表や住民への避難指示のあり方について反省の意を表明したが、人命にかかわる緊急事態発生について、原子力の専門家ではない政府がどの程度イニシアチブを取って情報発信と管理をすべきかという点で難問を突きつけられたように思う。

 今回特に問題になったのは、東京電力が水素爆発を察知して全面撤退を言ったのか言わなかったのかという点と、当時の菅首相がヘリで現場に乗り込み、東電の指揮系統を無視して現場で口出ししたことが妥当だったのかどうかという点である。

 結局水素爆発は起きた。だが、全員避難するまでのことではなかったと簡単に結論付けられては困るのだ。もし、仮に放射性物質が漏れて住民が全員避難という事態が現実に起きたら、周辺地区のみならず、日本全体はどうなっただろう。原子力には想定外の事態が予想されるではないか。こんな危険なものを再び稼動させようとする神経は人間の知恵とは遥かにかけ離れたものである。

 一昨日ペンクラブの懇親パーティ開催に先立って、先般チェルノブイリを訪れ、事故後26年も経過して今も引き摺る悲惨な現状を見て、ペンクラブ環境委員長・中村敦夫氏が悲惨を通り越して人類の破滅との話をした。今日も国会事故調では菅前首相を参考人招致して、当時の状況を聞きただしていた。原因究明は大事だが、一番大事なことはこんな危険なエネルギー源はもう止めるより他ないのではないか。

2012年5月28日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com