1843.2012年5月30日(水) 野田首相は原発問題にどう立ち向かうのか。

 今朝の朝日新聞一面に「原発なしでは、首相『生活成り立たぬ』」とある。あれっ、いつの間にか野田首相は原発賛成派に転じたのかと思わせる記事である。首相はこれまで菅前首相の脱原発路線より一歩後退したが、減原発の立場を取ってきたと信じていた。それが記事をよく読んでみると「電力供給の3割を担ってきた原子力発電を直ちに止めては日本経済、国民生活は成り立たない。安全性や必要性が確認された原発は、関係自治体のご理解を得つつ、再稼動について判断していく」と衆議院本会議で語った。完全に態度を豹変させた。

 昨日原子力安全改革2法案が審議入りしたのに合わせた質問に応えたもののようだが、原発再稼動へ向けて姑息な手段により外堀が少しずつ埋められつつある。経済産業省が電力会社の発電部門と送配電部門を分ける発送電分離を進める腹を固めたことも原発再稼動と無縁ではないと思う。

 それより何より、一昨日国内電力のうち原発の割合をどれくらいにするかということについて経産省の審議会が4つの選択肢を最終決定したばかりではないか。当然そのひとつには2030年には原発をゼロにする案も含まれている。にも拘わらず早くもその翌日、原発行政に大きな責任を担うべき首相が、審議会の案を無視するが如き早目に原発再稼動を語るなぞ、無責任と軽率のそしりを免れないと思う。一国の総理大臣ともあろう者が一体何を考えているのかと問いたい。これでは原子力行政はメチャクチャで、審議会や委員会がいくら最善の案を提案しても意味がないのではないか。周囲の顔色ばかり窺っているような野田首相のカメレオン的態度には、関西電力大飯原発を再稼動させるために福井県に同意を要請し、逆に西川一誠知事から原発が重要な電源として住民から理解されるよう首相から国民へのメッセージを求められたことがその背景にあるのではないか。知事は福井県や自分の意向や責任で原発再稼動のイニシアチブを取りたくない。電力は国のエネルギー政策であると説得して、その後押しを態度が煮え切らない野田首相に委ねたのである。野田首相ばかりでなく、みんな自分の意見や希望をひた隠しにして、表立って批判を浴びたくない様子がありありである。その陰で上手に有利にことを運ぼうとする。ことは国家戦略である。よく観察しているとずる賢いやり方だということが分かってくる。こんなことで野田首相以下国会議員は国のエネルギー政策をリードしていけるのだろうか。

 さて、今日注目の野田、小沢会談が開かれた。野田首相としては小沢民主党元代表へ消費増税法案への協力を要請し、小沢氏の翻意を促すつもりだった。だが、予想通り小沢氏は自説を曲げず、議論は平行線に終わり、会談は実りのないものとなった。はてさて野田首相は多くの難題を抱え込み、これからどうやって政権を運営していくのだろうか。

2012年5月30日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com