今朝の朝日「天声人語」にこんなことが書いてある。「大相撲の八百長問題で忘れがたい怪文がある。<立ち合いは強く当たって流れでお願いします>」。同コラムは更に「大飯原発が『流れ』で動き出そうとしている。福井県知事の求めで野田首相が地元に感謝し、再稼動の決意を表明、それではと地元が同意に動く」と一昨日の本ブログに書いたのと同じような指摘である。
この福井県知事・西川一誠氏なる人物は、その風貌と話の姑息な進め方から推して何となく役人上がりではないかと調べてみたら、やはり地方行政を管轄する自治省のお役人だった。そつなくことを運ぶ作業にはうってつけの人物なのだと思う。だが、果たして県と県民のためを考えて行動する人物かとなると少々疑問である。
今度の大飯原発再稼動に当たり、昨日の現地視察で安全宣言を述べるにしても自分は極力責任を取らないように、事前に原子力保安・安全委員会から安全との担保を得たうえで動き、安全宣言をしている。大飯原発の現地を視察したにせよ、京都大法学部出で原子力の専門家でもない元自治官僚に原発の安全性なぞ正しくチェックできるはずがないではないか。とにかくこういうように巧妙に動く狡賢い輩が多くなった。
日曜日にヨルダンから帰ってきたら「三田評論」の及川健治編集長から同誌6月号が送られてきていた。早速ベオグラードの友人・山崎洋氏のエッセイに目を通す。今年3月にベオグラードで演奏された慶應塾歌のエピソードが心に訴えるように書かれていた。彼は中々の文筆家であるが、本エッセイも中々秀逸で、読者に好評だった現場の臨場感を温かく伝えてくれる。文中にはその橋渡しをやってくれたとして私や、ゼミの後輩らの名前までヨイショして紹介してくれる心配りぶりである。12月に作曲した信時潔の名曲演奏会が信時所縁の国分寺で開かれ、以前は演奏されなかった塾歌を♪海ゆかば♪などとともに、セルビア在住のバイオリニスト豊嶋めぐみさんが演奏してくれるのが楽しみである。
さて、シリアの治安混乱はいよいよ内戦状態になってきた。国連停戦監視団ははっきり内戦状態と述べている。にも拘わらず治安維持のためシリアへ国連軍を投入することができない。ロシアと中国が国連安保理で他国の介入は内政干渉であると強く反対しているからである。その中国が国連安保理決議で禁止されている武器を北朝鮮へ輸出した情報を日米韓が得ていたことが明らかになった。証拠が明らかなのに、中国はその疑惑を真っ向から否定している。最近の中国は一体どうなってしまったのか。世界の嫌われ者となって地球上の孤児にならなければいいが・・・。