国会では今会期中に消費増税法案を通すため、与野党入り乱れて手練手管の猿知恵を出し合っている。政府提出案に同意してもらうため、政府・民主党は自民党と公明党に対して度重なる妥協を受け入れ、実際どの政党が起案した法律案か分からなくなっている有様である。これが民主党内では、野党に譲歩し過ぎとの別の声も上がって、不満が渦巻いている。
さて、今日の朝日夕刊「窓」欄に、沖縄に布教に来て半世紀以上になるラサール・パーソンズ神父が紹介されている。沖縄の米軍普天間基地へ4月にモロッコで墜落事故を起こしたばかりの新型輸送機MV22オスプレイが配備されることについて、「沖縄の人たちにはもっと怒ってほしい。それは暴力の怒りでなく、非暴力の怒りです」と言っている。そのオスプレイは、沖縄配備の前に一時的に航空自衛隊岩国基地に配備されることが予定されており、先日森本敏・新防衛相がアメリカから絶対安全の保証を得たと述べた。沖縄と岩国住民を安心させるための気休めのメッセージである。
ところがどうだ。その朝日夕刊の1面に「オスプレイ、米で墜落」と大々的に報じられているではないか。フロリダ州で訓練中に事故を起こしたらしい。アメリカが安全だと確約した安全が、安全ではなかったのである。
「安全」とは一体何だ? 「安全」と相手から言われたまま信じることが国のトップ層が考える「安全」なのか。
今朝のテレビ番組でも大飯原発の安全について、不安だらけの実態が報告され話題になっていた。原子力保安・安全院の示す「安全」報告により、野田首相が安全であると受け止めて大飯原発の安全を宣言した。それを西川福井県知事が安全と考え、自ら大飯原発を訪れるパフォーマンスを行って安全をアピールして、時岡大飯町長の安全信用の過程へ導いていく。これにより一応大飯原発は「安全」と容認された。原子力保安・安全院以外は原子力に関してすべて素人である。その素人の判断によって「安全」が一人歩きを始めたのである。あな、恐ろしや!
その大飯原発の2号機と3号機の間に、大きな活断層が走っていて、極めて危険だという。もっと精密な調査を続ければ、更に他の原発にも危険が潜んでいることが明らかになるだろうというのが、むしろ原発を容認する学者の意見である。
いつの頃から日本人は危険を危険と思わなくなったのだろうか。これでは、いずれ首都東京近郊にも原子力発電所を作り、オスプレイを配備するのではないだろうか。