昨日ベルギーのブリュッセルで起きた連続テロ事件によりテロがネットワーク化して動き出すことが心配されている。パリとブリュッセルのようなヨーロッパの中心都市にテロが連動して起きたことに仄かな予感はあったが、テロが起きるのは現状では手の打ちようがない。パリ事件の容疑者の一部がブリュッセルに滞在し、ブリュッセルのテロリストと連絡を取り合っていたことが明らかになっている。それでも事前に警備当局がある程度ターゲットを絞っても根っこを抑えることが出来ない。
こんな緊急事態をあざ笑うかのような不謹慎な言葉が、アメリカ大統領選候補者から発信されるようになった。悪の連鎖というより、悪口の連鎖とでも言うべきだろうか。
まず、暴言プロデューサーのトランプ氏がテロの容疑者を水責めの拷問に処するべきだと述べた。アメリカでイラク戦争反省の結果禁止した水責めのリンチを再び容認しようというのである。あの時テレビ視聴者が、あまりにも非人間的で酷いという抗議を起こし、この水責めは禁止された。にも拘らずトランプ氏はテロリストに対しては、彼らが無法を犯すから水責めをやっても構わないと喚き散らしている。アメリカ社会の命綱でもある人権なんて毛頭考えていないのである。
そうかと思うと、トランプ氏のライバル、クルーズ氏までがイスラム教徒の居住地区には警察の監視が必要だと言い出す始末である。更にトランプ氏はテロ撲滅のためには「IS」への核攻撃も排除しないなどと政治家が絶対口に出してはいけない暴言まで喚いた。これまでにも、「中国には高い関税をかけろ」「在日米軍駐留費用はすべて日本に支払わせろ」「メキシコにはアメリカ・メキシコ国境に高い塀をメキシコ政府によって作らせろ」など度々知識不足を露呈するような悪意ある発言があった。それが今度のテロ発生によってますますエスカレートして移民排斥、イスラム教徒監視、核攻撃強行など、今や言いたい放題になってきた。これが世界一の大国アメリカ合衆国大統領になろうとする人たちの言葉とは、アメリカの人材不足はあまりにも情けないではないか。彼らはどこまで本音で言っているのだろうかと首を傾げざるを得ない。
民主党はまだまともであるが、共和党という政党は何を考えているのか。そして、こんな狂信的な候補者が票を得られるのは、共和党支持者というのは自分たちさえ良ければ、他人はどうなっても構わない。特に移民やイスラム教徒は地獄へ行けと主張しているようなものではないか。
秋の大統領本選の結果を見ないと何とも言えないが、現状では民主党候補者に勝ってもらいたいと世界の良識ある人とともに強く願っている。仮にトランプ氏が大統領に選出されるようでは、グループ歌手名と同じく「世界の終わり」である。それだけは避けてほしいものである。