1879.2012年7月5日(木) 貧困な日本の再生可能エネルギー政策

 大飯原発3号機の再稼動が決定される前に、国会と霞ヶ関官庁街をデモ行進した一般市民の原発再稼動に対する反対のシュプレヒコールは、久方ぶりに見る市民の本音が溢れる拒絶行動だった。かなり名の知れたレポーターが、60年安保闘争でヘルメットを被ったデモ隊が国会を取り巻いた時以来と、評価しながらも好い加減なレポートをしていたほどである。60年安保当時は、まだヘルメットなんか被っていなかった。

 実際広範な市民運動としてこれだけの市民が、ただ原発再稼動反対を主張して集まるのは本当に久しぶりだし、すごい庶民エネルギーだと思う。こういう市民運動や、放射能から逃れた避難民らの声を無視して、政府は再稼動へ踏み切った。そして、国会の東電福島原子力発電所事故調査委員会は、今日事故の原因や対応の改善策を盛り込んだ最終報告書を衆参両院議長に提出した。調査書では菅前首相と官邸の初動対応と、地震対策を怠り事故を津波のせいと責任逃れをした東電の姿勢を厳しく批判し、原発事故は「自然災害」ではなく、明らかに「人災」と決め付けた。

 菅前首相が事故発生直後に東電が発電所から従業員「全員退避」を考えたことを断固認めなかった点から、私もその点では唯一菅前首相を評価していたが、どうもその間のやりとりも怪しいということから、その話はなかったものと断定された。総理大臣の言動がいかに軽いものか。これでは国の政治が軽視されるのも無理からぬのではないかと思う。

 そして今日、時を同じくして再稼動した大飯原発3号機は発送電を開始した。9日にもフル出力に達する予定である。引き続き、4号機も今月末には再稼動する。

 結局話題が原発再開・反対の一点だけに向けられ、将来的な視点から原発の将来的廃止の動きや、代替エネルギー開発推進の動きにはあまり目が向けられず、何処かに追いやられてしまった感がする。

 ところが、今夕の日経紙に依れば、わが国と同じように周囲を海に囲まれているイギリスは、官民挙げて世界最大の洋上風力発電事業に乗り出している。本格的に資源エネルギーの開発に取り組み、13兆円を投資して沖合いに7000基以上の風車を設置して、2020年時点では3200万kwを発電し、国の総電力需要の約3割を再生エネルギーで賄うという腹積もりのようである。20年までに中国でも3000万kw、アメリカで1000万kw、ドイツでも900万kwを洋上発電する。その受注を目指して日本の三菱重工が立ち回っているという。官民ばらばらの日本のエネルギー政策はどうなっているのだろうか。

 国家戦略について言えば、各国のエネルギー政策は、日本政府とは取り組み方が違うと思う。きちんとグランドデザインを描いて、雇用創出まで考えている。国民との約束を反故にして、政争に明け暮れているどこかの国とは大分違う。

 翻って、ここ1ケ月の間、日本の国会では何を行ってきたのか。お恥ずかしい限りである。政治家はダメ、官僚もダメでは日本はどうやったらやっていけるのだろうか。人の採用、配置の仕組みを考えなければならないのかもしれない。いずれにせよお先真っ暗である。

 ひとつお目出度い話題は、今日午後上野動物園でパンダが出産したというニュースである。24年ぶりの出産だが、自然交配による出産は初めてということである。せめてパンダとスカイツリーにあやかりたいものである。

2012年7月5日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com