このところ、自然災害と学校教育のでき事が日本中に大きな衝撃を与えている。自然災害について言えば、その現象は一昨日から九州地方を激しく襲っている集中豪雨である。活発な梅雨前線が停滞して、その影響で記録的な豪雨に見舞われた熊本県と大分県では、昨日現在18名が犠牲となり、行方不明者も10名を越えている。熊本県阿蘇市では、1978年の統計開始以来1時間当たり雨量は最多を記録した。実際テレビ画像で河川を流れる洪水の勢いと早さを観ていると空恐ろしくなってくる。こんなに川面が波を打っているようなシーンはあまり見たことがない。
もうひとつのでき事は、滋賀県大津市内の中学2年生の自殺を巡る騒動である。昨年生徒が自宅マンションから飛び降り自殺したのは、以前から同級生のいじめによるものではないかと疑問が出ていた。学校は否定しているが、こっそり生徒へのアンケート調査をやって事実を把握する姿勢を示した。その中には「自殺ごっこ」や「葬式ごっこ」をしていたとの記述があった。それにショックを受けた学校が右往左往し出した。だが、そのことを保護者には言わず、「いじめ」と自殺との間には直接的関係はないと突っぱねた経緯がある。それが、ここへ来て学校と大津市教育委員会の対応が稚拙だったせいもあり、大ごとにしてしまった。改めて大津市長が「いじめ」と自殺との間には関係があると思うと述べ、市に調査のための委員会を立ち上げ、市長自ら真相の解明に当たると発表した。これに追い討ちをかけるように、昨晩は滋賀県警が神聖な教育の場である学校内の立ち入り捜査を行うという衝撃的な事件に発展してしまった。
多くのメディアが取り上げ、専門家の論評を交えてこの自殺事件の行方を追っている。ことが中学生のこと故あまり騒ぎ立てるのもどうかと思うが、改めて中学生のいじめ事件というものを考えさせられた。
偶然朝日朝刊に連載中の奥田英朗作「沈黙の町で」が、中学生の死亡事件を取り扱い、事故死か自殺かで物議を醸している。それが昨日420回目で突然終わってしまった。最近の新聞小説は突然完了という筋書きが多い。あれっ、まだ終わっていないではないかというのに完了となってしまう。奥田作品もその類で、中途で腰を折られてしまったような気分である。
大津の中学生自殺事件も新聞連載小説と同じように中途半端で終わらないよう、納得できるような解決方法を探って欲しいものである。
さて、今日は日比谷の東京會舘で開催の日本ペンクラブ例会と、近くの日本プレスセンターで開かれるゼミ恩師の追悼文集編集会議が重なってしまった。編集長として追悼文集の編集を主導する手前会議を進める必要があり、プレスセンターへ出かけた。ほぼ原稿も出揃ったので、あとは各頁のレイアウトを仕上げて、レイアウトと組版をきちんとやって、全体的に体裁をうまく仕上げられれば良い。何とかゼミ会員の期待に応えたい。会議の後で夕食をプレスセンター10階の「アラスカ」の高級ディナーをピアノの生演奏付で賞味する。そこで、何とそのゼミの先輩である利光國夫さんにばったり。ゴルフ仲間との懇親だそうだが、こんなこともあるか。