1890.2012年7月16日(月) 新聞連載小説と現実の相似性

 日本各地の気象が荒れに荒れている。九州北部を襲った豪雨は一段落したかと思いきや、再び九州地方は豪雨に襲われている。本州日本海側と東北地方、特に青森も激しい雨のようだが、打って変わったように関東地方だけは猛暑日となり、朝から日差しが強い。東京八王子では36.5℃を記録したし、今日の全国最高気温は群馬県館林の37.6℃だった。日本で一番暑いと言われる熊谷市では36.3℃を記録した。蒸し暑さも相当なものだ。

 さて、このところ連日滋賀県大津市の中学2年生の自殺について、いじめ事件ではないかとメディアが大きく報道しているが、とりわけほとんどの民放局のエンタメ番組で、教育専門家を呼んで、その原因や防止対策についてあれこれ話が尽きない。

 ところで、先日本ブログにも書き込んだが、直木賞作家・奥田英朗の朝日朝刊連載小説「沈黙の町で」について、作者自身が今朝「連載を終えて」と自分の考えや感想を書いている。

 実は、偶々この事件と時を同じくして学校内の少年自殺事件を取り上げ、その筋書きに興味を抱いていたところ、突然話の腰を折られたように連載が「完了」となってしまった。ストーリーが終わったようにはどうしても考えられなかったからだ。なぜだ?と狐につままれたような不思議な気持ちでいたところ、本人も気になったのか次のようなコメントが述べられていた。

 「裁くつもりはさらさらなく、ただ登場人物の声に耳を傾けただけである。したがって結論もなければ着地点もない。一人の少年が死んだ。それを巡る周囲の人間の、心の揺れを描いてみたかった」と語っている。でもこれでは読者の気持ちに応えていないと思う。作者も現実の大津市の事件に相当衝撃を受けたようで、こうも付け加えている。「書き終えた直後、奇しくも現実の世界で中学生のいじめ事件が発覚し、世間を揺るがせた。わたしはこのことに恐怖を覚えている。もしも執筆時と重なったら、書けなくなったかもしれない」とまあこんな心境を述べている。作者の気持ちは分からないではない。しかし、読む方の立場としては、中途でおいてけぼりを食ったような釈然としない感じであり、やはり物足りないものを感じるのも事実である。

 朝日は今の夕刊連載小説の前でも中途半端な終わり方をした。確か中国人作家・楊逸の作品「獅子頭」がそうだった。あれも中途半端で終わってしまったような気がしている。新聞小説のちょっと気に入らないところだ。

 そう言えば、奥田作品の次の連載小説、筒井康隆著「聖痕」も始まったばかりの第4回目だが、出だしから何が何だかさっぱり分からない。いつになったら気楽に楽しむことができるだろうか。それにしても新聞連載小説は、あまりにもでき、不できが甚だしいと思う。

2012年7月16日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com