1892.2012年7月18日(水) 原発再稼動の中で、危険がいっぱい。

 今日は駒沢大学公開講座の清田義昭講師の前期最終講義である。いつものように貴重なビデオを鑑賞させてもらった。NNNドキュメント12シリーズで3月に放映され、何らかのドキュメント賞を獲得した作品である。原発の運命的で、難しい問題に光を当てた考えさせられる秀作である。タイトルは「行くも地獄、戻るも地獄」で、原発再稼動反対の声に隠れて、一般的にはあまり目が向けられない「使用済み核燃料」の処分問題を真っ向から取り上げたものである。

 とにかく政府の原発問題、更に将来の資源エネルギー政策のような、現在わが国が岐路に立っている肝心な課題に対して、明確な方針やビジョンが示されず、危機的な状況だけが進んでいる。その中でこのドキュメントは北海道・幌延町に使用済み核燃料の最終処分、或いは再処理の貯蔵施設建設問題を市民の視線から捉えていた。実際、原発はこの使用済み核燃料を継続的に放出し、このゴミの処分をしなければ溜まっていくばかりである。以前からこの問題に目をつぶり、原発稼動の危険性ばかり問題視しているのはおかしいと考えていた。それを逃げることなく、危険性と問題点を暴いた。

 この力作を日本テレビは深夜に放映したというのも、姑息だと思う。読売が初代原子力担当大臣だった正力松太郎氏の影響力のせいか、原発稼動に賛成の立場を取っている。その関係会社・日本テレビが原発に反対の番組を制作した。そこにゴールデンタイムでは放映できなかった理由があるのだろうか。

 とても番組では解決策を示すゆとりやアイディアはなかったが、問題点を思い切って俎上に乗せたことで良しとすべしだろう。これから少しでも「使用済み核燃料」問題に世間の関心を向かわせ、逆説的に原発再稼動の流れへブレーキがかかるようなムードを醸成できれば、この作品を制作した意味があるというものだ。

 テレビ・ニュースでは福島第一原発4号機の廃炉への始まりを克明に映し出していた。これから40年もかかるという。更に気がかりなのは、昨日大飯原発の敷地内に活断層がある可能性が指摘され、再調査を命じたことである。専門家と関西電力関係者の議論がまったく噛み合わない。専門家はどうしてこんな所に原発を設置したのだと初歩的な質問をしていた。また、石川県の北陸電力志賀原発でも断層の再調査を行うという。

 今になって、何という醜態だろうか。これでは、他の原発立地だって危険がいっぱいではないか。こんな時に反対の大集会を押し切って、再稼動とは政治家はどういう神経をしているのか。

2012年7月18日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com