1895.2012年7月21日(土) 日本には責任を取れる人がいなくなってしまったのか。

 ちょっとやそっとの「うそ」、「ごまかし」、「隠蔽」にもそう驚かなくなったが、昨今の政治家の軽薄な発言や、福島第一原発事故に際した東京電力の会社ぐるみの隠蔽には怒りを通り越して、最早開いた口が塞がらない。

 東電が発注した福島第一原発の復旧工事で、下請け会社の役員が鉛のカバーで放射線の線量計を覆うよう作業員に指示していたことが分かった。明らかに作業員の被爆を少なく見せかける偽装工作である。少しでも嘘の数値によって被害や放射能の影響をごまかそうとの作為的行為である。これでは時系列的に正確な放射線量が分からなくなるばかりか、極めて危険で、危機的な作業だと言わざるを得ない。こんなモラルに反する危険な作業を、勝手に平気で行おうという神経が理解できない。

 この偽装工作に当初下請け会社の作業員は反対したが、これを会社の役員が実施するよう懸命に説得している様子が録音されているというから滑稽である。

 東電という会社は、放射能の危険性を本当に理解しているのだろうか。東電がこの下請け会社に強要したようなことはなかっただろうか。それにしても酷いものである。

 さて、他方で政治家の嘘つきも大いに問題だ。看板に偽りありと断罪されたのは、民主党の政権公約であるが、その中でも選挙前に一言も訴えなかった消費増税が一番の逆目玉である。そのうえ、もっと酷いのは、消費増税の使い道は「財政再建」と「社会保障の充実」のためと主張してきた。

 しかし、その約束の実行がなにやら怪しくなってきたのだ。またである。官僚主導でこの二枚看板を塗り替えようと企んでいるのだ。「財政再建」を将来へ先延ばしして、土木・建設業者を潤すバラマキ「公共事業」をやろうというのである。このところ安住淳・財務相の発言を注意して聞いていると完全に官僚に抱き込まれてしまったことがよく分かる。次の総選挙で民主党が大きく票を減らし、地盤沈下することは今やはっきりしているが、その選挙対策用にバラマキ公共事業をやって、併せて景気対策にも効果を上げようというのである。しかし、考えていた国の借金はまったく減らない。

 先日も整備新幹線建設に確か10年間で200兆円を注ぎ込む大判振る舞いのニュースが流れたばかりだが、どうしてこうも政治家の発言は軽く、将来の財政基盤を損なうようなことに血眼になるのだろうか。

 そこへまたまた、昨夕元首相の鳩山由紀夫氏が奇妙な行動に出た。毎週金曜夕刻に首相官邸前で「原発反対」の市民デモが行われているが、そこへその鳩山氏が現れ出て、国民の声が官邸には聞こえていないとして拡声器で官邸へ向かって原発反対を叫んでデモ隊にエールを送った。今も存在感のある国会議員が原発再稼動反対を叫ぶことは、デモ隊を力づけるかもしれない。問題は、本心で反対しているわけでなく、単なるパフォーマンスでしゃしゃり出ているポーズにしか見えないことである。しかも、同じ民主党政権下で首相が四苦八苦している時に、仲間に引導を言い渡すかのような言動がよく取れるものだと鳩山氏の人格、そのものに問題ありと考えざるを得ない。流石に周囲でもこのお目出度い人物の行動に眉をひそめる人もいる。軽佻浮薄のチャンピオンである鳩山由紀夫・元首相がどんな行動を起こそうとも、誰ももうこの人には騙されないと思っていることをまだ本人は気がついていない。

 どうして現代日本には、広い視野で国民全体のことを考えるような人がいなくなってしまったのだろうか。心配である。

2012年7月21日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com