1896.2012年7月22日(日) オスプレイも原発も国の対応がおかしい。

 昨日と今日は「涼しい」を通り越して、「寒い」をすら感じる。「寒い」も気象だけなら良いが、心寒くなるような最近の事象、事件には手の施しようがない状態である。

 アメリカ・サンディエゴ港を出発したオスプレイ艦載貨物船が、ついに韓国のプサンに到着したと思ったら、時を待たずに出港し、予定通り今日関門海峡を通って瀬戸内海を回り、明日山口県岩国米軍基地へやってくる。この受け入れに反対している岩国市を袖にして、仮に米軍基地が受け入れるとすると、10月の普天間基地配備までの間日本国内に7つある訓練コースで、地上を低空飛行しながら訓練を続けるそうだ。

 政府民主党もアメリカに対しては配備を断れないが、党内には受け入れ容認派と反対派がいて、党内の対応も難しいようだ。前原誠司・政調会長がアメリカに対して安全対策に関して、言うべきは言わなければいけないと、野田首相に批判的な発言をしたと思ったら、石井一・党副代表が日米安保条約上は機種変更について要望は言えないと前原氏を強く諌める発言をしている。相変わらず民主党幹部の意見や判断がマチマチなのだ。

 それにしてもこれだけ強い拒絶反応のあるオスプレイを日本に持ってきても、上空を飛ぶ自治体としては、安全・騒音対策上黙っているわけにはいくまい。

 日米安保条約の趣旨は分かるが、これだけ問題を抱えているオスプレイだけに、その使用を両国代表が改めてテーブルについて話し合うということにどうしてならないものか。この問題については政府が逃げているという印象が否めない。腰を据えて本格的に議論をしようとする、政治家も外交官も防衛省幹部もいないということなのだ。機密を含んだ秘め事はあろうが、オスプレイを沖縄でどう使おうとするのか、我々日本人にはまったく開示されていない。政府もある程度アメリカから情報を得て、噛み砕いて分かりやすく日本国民に説明すべきではないだろうか。

 さて、繰り返しになるが、福島原発事故に関しても政府の対応は相変わらず甘い。昨夜NHKがドキュメンタリーをドラマ仕立てにした、1時間もののスペシャル番組「メルトダウン連鎖」を観たが、この事故には想定外のことが多すぎた。一つの装置が故障した場合に予備の装置を使う。それがまた故障した場合の備えがない。安全対策はあくまでイメージでしかないのだ。想像外のケースについては関係者や専門家でも手を拱いている以外手の打ちようがない。実際に原発で働いていた人びとからは、この世の終わりかと思ったとの発言も数多く聞かれた。こんな危ないものを性懲りもなく、まだ造り、現在稼動停止状態の原発をも再稼動させようとしている。

 そして、大飯原発3号機を再稼動させておきながら、再稼動の決定権者である枝野幸男・経産相は昨日宇都宮市内で「私個人の心情で言えば、明日にでも全部止めたい」と語った。よくも二枚舌を使ってくれるものだ。一方で、福島県で講演した玄葉光一郎・外相も将来の原発依存度について2040年に0%という構想を示した。更に、菅直人・前首相は持論である脱原発をベースに「原発をゼロにするという方針を明確にすべき」と野田首相に注文をつけた。この救いようのない民主党の幹部の発言が、揃いも揃って原発反対を匂わせながら、どうして党の統一見解として「脱原発」ではなく、「原発賛成」になるのだろうか。各人が勝手気ままに言いたい放題に喋っている印象である。これでは日本の政治が前へ進まず、活力が生まれないわけである。

 このスペシャル番組を観ていると、普通の神経を持っている人は、誰でももう原発は要らないという気持ちになるのが普通だ。それを使用済み核燃料の処分方がはっきりしないのに、何とかして再稼動させようというのは、いずれ放射能を日本中にばら撒くのに加担するようなものではないか。いま福島第一原発の何号機かの廃炉が進められている。これが終わるまでになお40年の長い年月がかかるという。18日に駒沢大学で見せてもらったビデオ「行くも地獄、戻るも地獄」が、実感として腑に落ちる。

2012年7月22日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com