ロンドン・オリンピックの女子サッカーチーム「なでしこジャパン」の勝利に次いで、昨晩遅く行われたサッカー男子1回戦で日本は、予想を覆して優勝候補筆頭のスペインを1-0で打ち破る大金星を挙げた。今日の朝刊、夕刊、テレビとも大騒ぎである。曰く「日本、無敵艦隊を破る」。スペインは日本の実力をやや甘く見ていた節があった。スペイン・チームの監督にしても、戦前日本はスペインと試合することによって集中力が高まるだろうと不遜なコメントを発していたくらいである。スペインA代表チームは前回のワールドカップで優勝し、昨年のヨーロッパ選手権の覇者でもあり、かつての日本ならとても敵う相手ではないが、わが日本も近年少しずつ力をつけてきた。
この試合では、日本のボール支配率こそ35%だったものの、永井謙佑選手ら日本FW陣のスピードは、むしろスペインDFに走り勝ち、シュート数ではスペインの2倍だった。スコアも3-0くらいの差があったと思っている。この勝利は、必ずしもフロックとは言えないのではないかと思う。それでも世界中のメディアが、この勝利を今大会最大の番狂わせになるだろうと報じたほど世界的にも予想外のことだった。試合会場のコベントリーでは、地元の観客はほとんど日本チームを応援していたそうだ。これで男女チームとも幸先の良い滑り出しができて、これからの勝負に期待が持てる。
さて、今日は5月26日に亡くなられた、松尾道彦・JAPAN NOW観光情報協会前理事長のお別れの会が平河町の日本海運クラブで行われた。肺がんを患って、入退院を繰り返しておられたようだが、今年になっても何度かお会いした際、格別健康状態が悪いような印象はなかった。5月18日のJN協会総会で欠席のまま理事長を辞められたばかりで、突然のように黄泉の国へ旅立たれた。今日も松尾さんのお人柄を偲び、お別れの気持ちを伝えたい多くの参会者が列をなした。
松尾さんはお人柄が良くて多くの人々から慕われていた。今日も発起人である運輸省同期入省の方が仕事ぶりとお人柄を淡々と述べておられたが、私も松尾さんのおかげで随分貴重な経験をすることができた。今問題になっている東京電力柏崎・刈羽原発見学会を始めとして、鉄道建設公団総裁時には開業に先立って九州新幹線試乗、そしてつくばエキスプレス試乗、横浜みなとみらい地下鉄試乗、山梨リニア・モーターカー試乗等々、度々松尾さんのお世話になった。一昨年JN協会の「そこが知りたい 観光・都市・環境」(交通新聞社刊行)発行に際して、私は冒頭の観光編を担当執筆したが、松尾さんは巻頭言を書かれた。
いつも笑顔で優しい口調で話され、とかく評判の良くない高級官僚出身で、しかも官僚としての頂点を窮め運輸事務次官を歴任したにも拘わらず、役人臭がなく丁重で誰にも気さくに話しかけられていた。私より1歳年長だったが、まだまだご経験を活かして活躍していただきたかった。衷心より松尾さんのご冥福をお祈りしたい。