一昨日参議院本会議で消費増税関連8法案が民主、自民、公明3党などの賛成多数で可決、成立した。これで消費税は14年4月に8%、15年10月に10%に正式に引き上げられる。消費増税は3年前の総選挙で民主党の選挙公約には掲げられていなかったので、民主党ではすったもんだの騒ぎの末に漸く法案成立となっても、未だに肝心要のマニフェストの実行が行われていないていたらくである。
少なくとも1票の格差を是正する衆議院選挙制度改革法案と、赤字国債を発行する特例公債法案成立が急がれる。前回の総選挙後3年が経過しようというにも拘わらず、法案成立ではまったく実行力が発揮できない民主党政権は、解散前に何とかこの2法案だけでも成立させたいと願っているようだ。もちろんそれは最低限のノルマであろう。
今やわが財政逼迫の事情は火を見るより明らかで、プライマリー・バランスは真っ赤っかで、国と地方を合わせると10年度は28.6兆円の赤字である。これが年々積み重なって、今年度末には国の国債発行残高は709兆円に上る。ひとり当たりの国民にとって約550万円の借金だというから見過ごすわけにはいかない。消費税が10%に上がり、消費税収が年間13.5兆円増えても、15年度のプライマリー・バランスは依然として16.8兆円の赤字である。これ以上増税するわけにもいかず、景気の回復により企業の法人税収入の回復が望まれるが、現状は悲観的であり、それ以外の特効薬は支出の削減しかない。
今日の政治家は身を削ることには腰が重く、支出の削減にせよ、税と社会保障の一体改革を謳っておきながら、俄かに社会保障の充実を限定的にして給付抑制するひそひそ話が水面下ではある。
そのうえ、景気回復に欠かせないとして、自民党筋では今月初めに今後10年間に200兆円の公共投資を柱とする、馬鹿げた国土強靭化基本法案を提出した。明らかにバラマキである。これでは国家財政弱体化基本法案ではないか。少しでも目の前に現金があると、それを貯蓄に回さずに、自分に利のある支出へ回すことを考える。これではいつになっても国家の財政事情が好転するわけがない。
今日で日航ジャンボ機が群馬県御巣鷹山へ墜落して27年になる。この事故で航空事故史上最多の520名が亡くなられた。ヒット曲「上を向いて歩こう」を歌った坂本九さんが犠牲となったのもこの事故である。もうこんな事故は決して起こらないと信じたいが、福島原発事故の政府の事故対策や東電の対応を見ていると、残念ながら似て非なる事故はまだまだ絶滅ということにはならないような気がする。