昨日、一昨日と領有権を争っている竹島と尖閣諸島への上陸問題を巡って、日韓と日中間でお互いにボルテージが上がり止まらなくなってしまった。尖閣諸島へ上陸し、逮捕された香港の活動家は今日強制送還ということで香港へ送り返された。一方の竹島は、当面の相手が大統領であるだけに始末が悪い。しかも、現在韓国が実効支配しているだけに、日本としては物理的には手が出せず、両国がお互いに批難の応酬合戦をやっている。
実効面では、日本政府はわが国の領有権を求めて国際司法裁判所へ提訴することを韓国側へ伝えて、同意を得るという形になっている。実際には、韓国政府が領有権問題は存在しないとの立場を取っており、日本の提案に同意しないと見られている。更に日本と韓国との通貨交換(スワップ)協定の融資枠の減少と、協定が今年10月に期限切れとなるが延長する気持ちがないことを公表した。
こんな大騒ぎがあったせいで、終戦記念日の行事や、それにまつわる肝心要のニュースがかなり陰が薄くなってしまった。
その中で、海外で戦没された遺骨が年々収骨できなくなっているというニュースが言われ出して久しい。一昨日の朝日新聞によると、戦没者数が240万人で、そのうち113万人がまだ還っていない。
私自身長年に亘り厚生労働省の戦没者遺骨収集団に関わってきたので、特別関心を抱いている。昨年3月ごろフィリピン地域の遺骨収集をNPOの杜撰なやり方で、日本人でない遺骨も混じっていたことが問題になったが、それ以外にも問題は多い。戦後67年が経ち、外国の山野に放置された遺体は、草蒸す屍となり、自然の中で風化している。しかも、人里遠いジャングルや山中であり、発見される可能性ははっきり言って少なくなっている。
私が関わっていた中部太平洋海域は、通気性が良いこともあり、遺骨の保存状態が良く、割合収骨数は他地域に比べて多い。24万人の戦没者のうち、17万人の遺骨が収集されている。中国・東北部に次いでその比率は高い。全般的に年々収骨数は減り、最終的には不可能という段階に到るのではないだろうか。経過時間、外交問題、場所的な難しさ、等々が絡んで、先行き益々至難となるだろう。戦友の方々から実体験話を聞いていて、その惨めさを知っているだけに戦没者に同情せざるを得ない。寂しいことである。