1935.2012年8月30日(木) 南海トラフ地震の恐怖

 昨夕日本プレスセンターで恩師の追悼文集編集会議を済ませ、一仕事を終えた気持ちでリラックスして編集委員と夕食をともにした。帰宅したら何やらただならぬニュースが伝えられている。今朝の新聞はほとんどこのニュースで持ちきりで一面で取り上げていて、その見出しも生々しい。日経紙では「死者最悪32万人」とある。朝日は「最悪32万人死亡」と似たような報道である。

 内閣府の有識者検討会が、昨日駿河湾から九州の日向灘の「南海トラフ」を震源域とするマグニチュード9.1の最大級の地震が発生した場合、最大32万3千人が死亡し、238万6千棟が全壊・消失するとの被害想定を公表したのだ。これまで東海、東南海、南海地震の個別の、或いは3地域の地震が連動した場合の被害想定をしたことはあるが、東日本大震災を踏まえて、さらに広い震源域を設定し、3連動地震より大規模なM9クラスを「南海トラフ巨大地震」と呼んで区別し、新たな被害想定を公表したのは初めてである。内閣府はその策定を進めている。

 それにしても、日経、朝日とも異常な取り上げ方でそれぞれ数ページを割いている。中でもカラーの被害予想地図を細かく解説し、各県別に予想死者数と津波の高さを挙げている。それによると太平洋沿岸では、犠牲者数が多く、内閣府では今冬には南海トラフ地震対策の全体像をまとめる方針のようだ。

 いずれにせよ大地震や、大津波なんか夢物語と考えていたが、大震災以来身近なものとなった。今まで想像していたこの種の自然災害はもっとつつましいものだった。それが、大震災以来生存している間に遭遇するかどうか分からないような「千年に一度」と言われる大災害にも備えを求められるようになった。生きていくのが厳しい時代になったということだろうか。

 もうひとつは政治の話であるが、昨日政治家の知能指数が下り坂にあることを明確に表すパフォーマンスがあった。フランス語で発音すると「コッケイジジドモー(国会議事堂前)」駅周辺の国会参議院で自民、公明両党のコッケイジジドモーから野田首相に対する問責決議案が提出され、採決の結果可決された。大局的な判断ではなく、政局がらみであることは自明の理である。法的拘束力はないが、結局赤字国債発行法案や議員定数是正法案などの懸案が放置されたまま国会審議は空転することになる。国民に負担を強いる消費増税だけ決めて、国会議員は議員数削減などの身を削る努力は先送りしたままである。結局今国会で成立した政府提出法案は、53%で戦後最低だそうである。政治はどんどん劣化し、実行力を行使できないまま解散へ向かおうというのか。あまりにも国民を脱力させるコッケイジジドモーである。

2012年8月30日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com