「週刊新潮」最新号によると戦後徹底した反日教育を行った結果、現在の2国間の友好関係を損なうような事態を惹起させている中国や韓国に比べて、親日教育を思わせる内容が高校1年生の国定教科書に紹介されているのが、元々親日的なビルマだという。私自身何度もビルマへ行って、ビルマ人の親日感情はよく承知しているが、教科書にまで掲載されてPRされているとは寡聞にして知らなかった。
そのビルマ人高校生用の教科書に紹介された事例は、戦時中イギリスからビルマを独立させるため、「南機関」という特殊機関を作り、そのボスとしてビルマ独立義勇軍隊員と日本人を率いて活動した鈴木敬司・陸軍大佐のビルマ独立のための功績を好意的に描いたものだそうである。
1970年代に駐日ビルマ大使館へ度々出入りして、当時のウ・チ・コー・コー特命全権大使と親しくさせてもらったが、そのきっかけを作ってくれたのが、元南機関員で当時ビルマ大使館勤めの川島威伸氏と高橋八郎氏だった。お二人はビルマ派遣の日本兵の間では薄々知られた軍人だったが、帝国軍人らしく毅然とした川島氏と、軍人らしからぬ腰の低い高橋氏は対照的で、戦時中の苦闘ぶりを随分聞かせてもらった。
いつだったか、静岡県舘山寺で鈴木敬司大佐を偲ぶ慰霊祭が行われ、ビルマに縁のある人たちと一緒に参加したことがある。そこには、鈴木大佐のお孫さんも大使も出席された。私がよくビルマを訪れていた30~40年前には、ビルマの人々は鈴木大佐をボー・モ・ジョ(将軍の意)と呼んで慕っていると話してくれた。これも日本とビルマを結ぶ固い絆の証拠であり縁だと思う。今尖閣列島や竹島問題で中国や韓国とはギクシャクした関係にあるが、その底流には反日教育の影響を無視することはできない。その点では、親日教育を反映させて日本に対する憧れを募らせているビルマとビルマ人には感謝の気持ちがしている。
私は世界遺産のテーマで講演を依頼されると、ユネスコ加盟国の中で唯一世界遺産が登録されていないビルマについて触れ、世界遺産を凌駕する素晴らしいビルマ国内の史跡とビルマ人の優しい国民性について話している。
やはり、私にとって最も好きな国のひとつである。