1955.2012年9月19日(水) 「2030年代に原発ゼロ」は絵に描いた餅か。

 昨日中国の「国恥の日」に中国国内の反日デモが燎原の火の如く燃え上がり、中国全土で激しく広がった。ただ、襲撃を受けそうな日本の在外公館には警官隊が配置されデモ隊は繰り出されたが、大きな被害はなかったようだ。一方民間企業ではデモ隊の攻撃を避けるためには、自己防衛するしかなく、とてもデモ集団からの攻撃をかわせる体制は取れなかった。結果的に昨日多くの企業やサービス業がデモ隊によって襲撃され、大きな損害を蒙った。

 しかし、デモが過激化するのを容認していた中国政府は、今日になってデモを禁止した。中国国内の事情により反日デモが政府へ向けられるのも恐れた中国当局が、自発的な反日デモだからと言ってこのまま野放しにすることはできず、断を下したのである。デモ隊が暴徒化する様子が世界に発信され、中国のイメージが大きく落ちたこともある。そのうえ、中国への投資に安全が担保されているかどうか疑念を抱かれたのである。

 今日の様子から察すると少しは反日デモが鎮静化の方向へ向かいそうだが、国家同士の信頼関係が損なわれた現状では、以前のような関係を取り戻すことは相当時間がかかりそうだ。

 さて、14日に野田内閣は国民の多数が脱原発を望んでいるとして「2030年代に原発稼動ゼロ」を可能とするようあらゆる政策資源を投入するとして、原則として原発の新増設を認めないとする革新的エネルギー・環境戦略を決めていた。昨日それを閣議で決定することを見送ることにした。

 国民の声が圧倒的に脱原発であることに鑑みて、脱原発へ舵を切ろうとしたばかりである。しかも、6月には、正反対な考えとして国民生活と経済の安定的な維持を考えると、今原発を停止することはできないと野田首相は述べていた。それらを含めて、我々国民は脱原発へ舵を切ったと考えていた。だが、腰の定まらない野田政権は、経済界の声、原発立地自治体、アメリカや英仏の原発を止めることの懸念などが強くなると、再び腰がふらつき出した。その挙句がこの朝令暮改となった。ちょっと酷すぎるのではないか。

 政府の逃げ口上ではこう言っている。「今後のエネルギー・環境政策については、『革新的エネルギー・環境戦略』を踏まえて、関係自治体や国際社会等と責任ある議論を行い、国民の理解を得つつ、不断の検証と見直しを行いながら遂行する」だそうである。本当はどうなのか。これではまるで骨抜きではないか。これは場合によっては、原発稼動はありうるということを示唆している。誰が悪知恵をつけたのだろうか。これでは、国民としては最早政府の言い分を信用することはできない。

2012年9月19日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com