米軍海兵隊のオスプレイ配備問題が依然として視界不良である。アメリカ国防総省と防衛省は安全であるとしきりに訴えているが、その安全性について不安視する声が一向に収まらない。岩国基地から沖縄・普天間基地へ今日移動して配備される予定だったが、台風が予想されるため移動は明日以降に延期された。普天間基地周辺では相変わらずデモ隊がオスプレイ配備反対を叫び、その配備は中々一筋縄では行きそうもない。
米軍と防衛省は予定通り来月には普天間基地にオスプレイを配備し、訓練を行うと前言を考え直す気はないようだ。だが、これだけ沖縄県内、特に基地周辺で拒絶反応が表面化すれば、そう簡単に強行するわけにはいかないのではないか。日本政府がいくら口先だけ安全と言っても、配備に反対する住民の心情を政府が理解しないようでは所詮両者の主張は平行線を辿るばかりだと思う。そこには「相互不信」と「危険」という大きな壁が立ちはだかっている。遮二無二配備を進めるのではなく、ここは頭を冷やして予定を少し先延ばししてはどうだろうか。
仲井真・沖縄県知事が再三述べているように、「オスプレイ配備、先に在りき」でどうも当事者同士が実質的に話し合う様子が見られない。難しいかも知れないが、取り敢えず話し合いの時間をオスプレイ配備を先延ばしにして、多少妥協点が見えそうになった時点で配備させるということにはならないものだろうか。どうも拙速のキライがしてならない。
それにしても防衛省という組織は普通の役所とは、一味違うようだ。防衛省の交渉、折衝術というのは浮世離れしているところがあり、一般の感覚とは相当ずれていて普通人には中々理解できない。
例えば、今朝の朝日新聞に暴露された航空自衛隊の練習用飛行機の入札に際して、メーカーの提案した価格を実際には大幅に超過していたことが、会計検査院の検査で判明したという。その差額たるや「20年で227億円の予算が、11年で240億円かかった」という。これだけ無駄使いしていながら、内部でこの暴走にブレーキをかけるサーモスタットが働かないのだ。このザルのような予算管理意識はどうして生まれるのか。防衛省内にはチェック機能がまったく働いてない。普通の組織だったら破産、お家断絶である。税金ですべてを賄ってもらいながら、その意識がないのだ。これは国民への背信ではないだろうか。まったく金銭感覚に疎く、予算管理意識が欠乏していると言わざるを得ない。防衛省がこういう杜撰な感覚で業務を行っているとすれば、安全管理も相当目こぼしがあったと考えざるを得ない。これではオスプレイの安全宣言だって信用できる筈がないではないか。普段から杜撰な業務を行っていて、沖縄県民が安全性が担保できないからと反対することに対して、どうして絶対安全などと言えるのか。税金の無駄使いを止めて、せめて普通の役所並みに粛々と業務を行ってもらいたいものだ。