1966.2012年9月30日(日) 民主党政権の日本よりアメリカを重視する二枚舌

 昨日の本ブログでカメレオンも真っ青な変幻自在で、頭がどこにあるのか分からない八岐大蛇のような野田政権の原子力政策について懸念する心情を書いたが、その政府方針の本音の一端が今朝の日経新聞から垣間見えた。

 同紙記事に依れば、政府はアメリカに対して「安全が確認された原子力発電所は引き続き重要な電源として再稼動させていく」との方針をすでに伝えていた。何のことはない。日本国民に説明し理解してもらう前に、すでにアメリカ政府に本心を伝えていたということだ。これは日本国民よりもアメリカを重視しているということだろう。しかも、日本国民には原発ゼロという幻想を与え、その一方でアメリカには「安全な」原発は再稼動するということをはっきり伝えていたのである。日本政府は二枚舌を使っていたのだ。こんな卑怯なやり方は日本国民に対する背信行為であり、騙まし討ちではないだろうか。更に驚くのは、アメリカにそのメッセージを伝達したのは、原子力を司る最高機関と位置づけられた原子力規制委員会発足前で、委員会が最終決定を下す前に結論は出ていたのだ。原子力規制委員会は原発稼動の是非を決める権限を有すると政府から一方的に押し付けられたが、すでに委員会発足前に賽は投げられたのである。こんな理不尽なことが許されるのだろうか。

 アメリカは福島原発事故発生当時から、日本が原発ゼロへ向かうことを密かに恐れていた。そこには、確かにアメリカの方向性とは相容れない問題点があったからである。

 アメリカは核燃料サイクル政策で、日本が原発ゼロを目指すなら再処理事業を停止することを要求していた。使用済み核燃料からプルトニウムを取り出すサイクル政策が残ると日本に核兵器への転用が可能なプルトニウムが溜まり続けるからである。もしこのままだと、アメリカはイランや北朝鮮に核不拡散を迫っている日米の方針との整合性を欠いているからだと主張したのである。これはやや押し付けがましい理由付けだと思うが、アメリカ政府としては、アメリカの原子力政策は官民一体となって日本との共同によって行われていると考えているので、仮に日本が脱落すれば、アメリカの原子力産業にとって、人材育成を始め多くの点で致命的な打撃を蒙ることを恐れているからである。更にこんなことも理由に挙げている。原発を止めれば、中東を中心に資源獲得競争が激化して石油価格が急騰する恐れがあるとしている。

 単刀直入に言えば、アメリカ政府としては日本と二人三脚で原子力政策を進めてきたにも関わらず、一方的に日本がその協調から逸脱することは容認できないと主張したいのだ。しかし、これは自分たちの都合だけを自己本位に相手国に押し付けているのだ。日本国民が脱原発を求めているということがアメリカには正しく伝えられていないことは問題である。しかし、そんな基本的な問題については日本が原発ゼロ方針を発表する前に話し合っていた筈ではなかっただろうか。肝心な問題点をクリアせず、一方が勝手に行動を起こすというのも不思議な話だ。それでも言語道断にも結局、日本政府はアメリカの腹の内を慮って日本国民には騙まし討ちをして、アメリカ政府には忠義を尽くしたということである。

 それにしても少々全体の話の組み立てがおかしいのではないだろうか。日本の総理大臣として、まずは日本及び日本国民のことを考えるべきではないか。主権を失いイニシアティブの取れない野田政権には正直言ってがっかりである。これでよくも中国に対しては、領土問題は存在しないと強気が貫けるものだ。一方に強く他方に弱くが、野田政権の表看板なのか。

2012年9月30日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com