1970.2012年10月4日(木) ビルマ民主化への道のり

 最も好きな国のひとつであるビルマが、従来の頑なな軍部独裁体制から徐々にではあるが民主化への道を歩き始めた。先月民主化のリーダーであるアウン・サン・スー・チーさんが訪米してオバマ大統領と会談し、ビルマの経済制裁解除について話し合った。アメリカの現職大統領が一国のリーダーと対抗する反対派のトップと面会することは極めて異例で、米国内でも驚きの目で見られているが、それは明らかにスー・チーさんとビルマの民主化をアメリカが支援するシグナルでもある。そして、その2日後にアメリカを公式訪問したティン・セイン大統領は、国連総会の一般演説で制裁解除に理解と支援を求めた。

 現在ビルマ国内で経済投資に一番深く関わっているのは、友好関係にある中国で、国内のインフラ整備にも中国資本の影響が大きい。ビルマは中国の影響を受けながらも、ここで制裁解除により欧米資本を受け入れて経済成長の足がかりを築くとともに、中国資本と欧米資本の投資バランスを上手に保って行こうとの腹の内が見える。

 今や日本のビルマへの投資額と貿易総額は、これまで欧米の経済制裁に同調していたせいで大きく後退し、ビルマにおける日本の存在感は極めて薄くなった。しかし、先月13日付本ブログでも取り上げたように、日本の鈴木敬司大佐がビルマの独立に貢献したことがビルマの高校生の教科書に紹介され、彼らの間では日本人の名を忘れがたいものにしている。

 ところが、先月28日の民放テレビ番組「小さな希望たちの賛歌」の中で、元陸上オリンピック選手の為末大選手がビルマの小学校を訪れ、日本について訊ねたところ日本について全員が知らなかったことに衝撃を受けた。かつては、ビルマ中どこへ行っても大人も子どもも日本を知らないなんてことはなかった。これは日本とビルマの間に経済交流が激減したと同時に、文化面でも交流が途絶えたことを意味している。高校生はともかくとして、もっと下の年代層に国際交流を通して日本をPRすることを考えなければいけない。

 年配のビルマ人に対する最近のテレビ・インタビューでも、日本が懐かしい、もっと多くの日本人がビルマを訪れてほしいと語っていたが、これは間違いなく本音である。どういうわけか、ビルマの人々は日本への憧れをしきりに話してくれる。もっとビルマを訪れてほしいと率直に語ってくれる。

 民政移管のスピードが遅いと指摘されたビルマが、ここへ来て大きく民政へ舵を切った。政治犯の釈放、公正な補欠選挙の実施、新聞・雑誌の事前検閲の廃止、労働組合の誕生等々は、これまで軍政が頑として妥協しなかった非民主化の癌細胞だった。それらが民政化の過程で認められ、現政権も国民的支持のあるスー・チーさんと和解して、ともども国際社会へ改革を進めていることをアピールした。

 まだまだビルマ民主化の道は遠いが、元々勤勉で真面目な国民だけに、きっと民主国家として立派に独り立ちしてくれることを1ビルマ・ファンとして期待している。

2012年10月4日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com