ペルー大統領選で元首相クチンスキー氏とフジモリ元大統領長女のケイコ・フジモリ氏の争いは、すでに4日前に開票されてから一向に決着がつかない。開票率99.97%になってクチンスキー氏50.12%、ケイコ氏49.88%の鍔迫り合いである。僅差の接戦で開票現場も神経質になっているのか、今日もどちらが勝ちを収めたのか報道されない。次の大統領が決まるのはいつのことになるのだろうか。
それに引き換え、アメリカ大統領選は民主党がヒラリー・クリントン前国務長官に、共和党はドナルド・トランプ氏に決まった。2人は来る11月の本選に向けて対抗馬が決まったことで激しい相手候補者への個人攻撃を始めた。
今回特徴的なのは、クリントン氏が当初から本命視されていたにも拘わらず、意外にもたついたことである。一方政治経験がないトランプ氏は名乗りを上げた当初、派手なパフォーマンスばかりが目立ち泡沫候補と見られていたが、意外なほどの善戦ぶりで最後まで勝ち抜き共和党支持者の票を獲得してしまったことである。トランプ氏のこれまでの過激な発言は度々物議を醸して外国人や良識あるアメリカ人の顰蹙を買っていた。クリントン氏も国家情報を個人的にメール送信したことなどで信頼を失い、アメリカ大統領選で史上最初の女性候補者という目新しいセールス・ポイントを生かし切れず、ともに大統領選史上好感度が最も低い候補者同士による決選となった。
今回とりわけこれまでの大統領選に比べて熱気が乏しく、盛り上がりに欠けるのは、フレッシュさが物足りないことと、内向きのパン・アメリカン主義が強すぎるからだろう。2人はともに戦後まもなく生まれた67歳と68歳で、まだ選挙戦を諦めない民主党サンダース氏も73歳というから、40歳台前半にデビューしたケネディ、ニクソン、オバマ氏らに比べると若々しさや新鮮さにおいてかなり見劣りする。近年ではオバマ氏の‘YES,WE CAN’なんかはハッとするほど強烈なメッセージを伝えてくれた。
亀の甲より年の功と言われる、人生経験豊かな2人の候補者が、批判されている言動を抑え込み軌道修正しながらどれだけアメリカ国民の希望に応えるようアピールしていくことができるだろうか。