1975.2012年10月9日(火) ニュース悲喜こもごも

 昨日山中伸弥・京大教授が今年度ノーベル医学生理学賞受賞者に決定したとのニュースは、瞬時にして日本全国に伝えられ、夜遅くまでテレビでそのiPS細胞に関する研究成果の内容が報道された。教授は各テレビ局の取材を深夜まで順次受けていたので、さぞお疲れになったことであろう。山中教授はこの受賞に対して、「支えてくれた人たちへの『感謝』」と「『責任』の重さ」をひとしきり強調されていたが、その中でこの受章は自分の研究が取り敢えず終わったとの実績に対する評価ではなく、これから研究の成果を実際に再生医療に生かしていくことが自分に課せられた責任であり、ゴールはまだ何年先になるか判らないと今後のあくなき研究生活を誓った言葉が強く印象に残っている。

 何十年先になるか判らないが、現実に人体の局部的な細胞を再生させることができるということは、医学的に見れば画期的な進歩であり、不治の病を治療する切り札となり、人類にとっても明けの明星である。だが、山中教授にとっては周囲から期待される医学上の成果が現実のものとなるまで、これからも心が休まることはないのではないか。いずれにせよ山中教授の努力に対して栄誉を与えられたことは、国民のとっても嬉しいことである。

 それはそれとして、いつも外国から大きな栄誉を授けられると、後追いで国が賞を授けるということがありがちだが、きっとこの後山中教授には文化勲章が授けられることであろう。

 さて、こんな明るい話題と前後して、昨日歓迎されないニュースとして大きく伝えられたのは、自分のPCからホームページやネット掲示板に、物騒な殺人や爆破予告を行ったとして一時警察に逮捕されたが、その後そのPCを他人が遠隔操作させたものと判り、釈放されたとのニュースである。自分のPCを見ず知らずの他人が勝手に操作するという恐ろしい行為により、犯罪に加担させられるというネット社会の怖さを知らされた。

 一般的にはこの事実にあまり馴染めないと思うが、私自身あるITコンサルタントの方にPC操作の指導を受けることがしばしばあり、そのひとつが‘Team viewer’という遠隔操作方法で私のIPアドレスとパスワードを伝えてコンサルタントが自分のPCにそれらを打ち込むと、コンサルタントと私の二人が私のPCを操作できる仕組みである。基本的にこういう形を何も知らない内に他人がやってしまうのではないかと考えた。警察は出し抜かれた感じに捉われて捜査を進めているようだが、中々難しい問題をはらんでいる。今では通常のPCばかりでなく、流行のスマホでもこの可能性が指摘されている。ネット社会の恐ろしいところだ。医学の進歩は患者を救うことにつながるが、ITの進歩は必ずしも利用者の利益につながらない。悩ましいところだ。

2012年10月9日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com