新年度に入ってどこの企業でも新卒社員が働き始めているが、来年度の就職活動もすでに始まっている。時代の波と景気によって企業にとっても浮き沈みがあり、それらが学生の就職活動に影響を与える。
今年卒業した学生と来年卒業予定の大学生の就職戦線は、①ワークライフバランス、②安定性、高収入、③会社の福利厚生、などが重視されているという。60年以上も前に就職活動を経験した我々世代とは、大分異なっているようだ。例えば、文系学生にとって人気のある企業は、8年連続で総合商社の伊藤忠商事、及び三菱商事、三井物産、丸紅でこれらは昔と変わらないが、特に興味深いのは、新興の「ニトリ」が、上位に入っていることで、その他にエンタメ・ゲームの任天堂の人気である。恐らく高収入とか、働きやすさが寄与しているのではないかと思う。しかし、給与は良いとしても外から見る信用、信頼性などの面で、従来の大企業などに比較してマイナス面はないだろうか。それにしても給与は年収600~800万円を希望しているそうだから、この点では昔とはとても比較にはできない。
理系のトップは、3年連続してソニー・グループ、続いて同じく3年連続して味の素で文系に比べて順位に変動がない。
ところが、かつては文系学生の中でも実力を試せて、堅実な職だった新聞社の落ち込みが激しいという。私自身最初は新聞社を目指したが、60年安保闘争のデモ中に撮られた写真が新聞紙上に載り、ゼミの恩師からこれは難しいことになりそうだから他の分野を目指したらどうかとアドバイスをいただき、結局まったく別の会社へ入社することになった。ある資料によると新聞社自体も業績悪化のせいで、採用数を減らしているが、朝日新聞社のようにかつては記者を含めて毎年百人以上を採用していたが、昨今は採用する新入社員が減少し、今年は記者32人を含む74人が採用された。読売は記者70人を含めて113人が入社する。特に気がかりなのは、26年度の予算段階で赤字が判明したことにより新人社員を削減した共同通信で、全体で47人、記者が35人である。これは各都道府県に1人ずつ新卒記者が配属されないということである。共同通信のケースは会社の特殊性もあり、現在進めている支局のネットワーク網が崩壊する恐れがある。景気低迷により会社が赤字を生んだ結果、通信社としての存在が危うい立場になるのではないだろうか。
我々が願うのは、それぞれの新聞がその記事の質を落とさないことであり、その遠因は筆力勝負である。そのために優秀な人材を必要なだけ配置し、お互いに取材活動で切磋琢磨し新聞の質を高めて欲しいところである。その意味では、新聞社が採用数を減らすことは、あまりプラスにはならないと思う。