昨日ミヤンマーの連邦議会でミン・アウン・フライン前国軍総司令官が新しい大統領に選出された。2021年2月軍事クーデターを指揮して当時国家顧問だったアウン・サン・スー・チー国民民主連盟(NLD)党首ら民主派勢力を排除して、覇権を握り爾来国を統治している人物である。その最高権力を握る総司令官が形ばかりの総選挙において過半数を獲得したことにより、新大統領は誰になるかは予想されていたことである。正式に国家の政治的首脳であることを世界へアピールしたに過ぎない。
昨年末から今年1月にかけて実施された総選挙は、昨日の大統領就任の裏付けを得るためのもので、圧倒的な勢力を占めていることをアピールするものだった。ミン・アウン・フライン氏は先月末に国軍司令官を辞任して、後任にイェ・ウイン・ウー司令官が継いだ。
形式的には民政復活となったが、民主派を排除した新政権はとても民政とは言えず、この後も引き続き国民の間では反発が強く、政府の圧政がそのまま引き継がれることになるだろう。
日米政府は、何らのコメントも公表していないが、早速中国は新大統領に宛てて祝電を送った。中国はこの軍事政権を由としているのか、一体何を考えているのだろう。
中国と言えば、中国企業がケニア西部で建設中の橋が完成を目前に崩落した。選挙が真近いケニヤッタ大統領が、インフラ開発を公約の柱にして、つい先日現場でこの橋の完成が経済発展につながるとPRしたばかりである。また、先年完成したインドネシアの高速鉄道受注合戦では、日本との競合の末中国企業が受注して工事は完成したが、完成後に多くのトラブルが生じて、インドネシア国内では日本から受注すれば良かったとの声がいくつも上がっていた。その粗雑な工事を行う中国が、ミヤンマーからもインフラ工事の受注を念頭に素早く祝電を送ったのだろう。
さて、一昨日行ったトランプ大統領の国民への演説が、国内外であまり好意的に受け取られていない。演説後株価は下がり、原油価格は値上がりしている。このところ人気も少々下り坂の大統領は、来る11月の中間選挙を前にやや焦り気味である。先日エプスタイン文書の公開を巡り、忠臣とされていたボンディ司法長官を解任したが、このほどヘグセス国防長官が陸軍の制服組トップである陸軍参謀総長を解職した。この辺りの人事は、トランプ大統領のイライラが嵩じた結果だろう。
大統領は、その余勢で2027会計年度(26年10月~27年9月)の政府予算の要望をまとめた予算教書を示した。それによると軍備優先の大統領らしく、軍事費を何と前年度に比べて4割増の1.5兆㌦(約239兆円)を求めている。日本の2026年度一般会計予算が、アメリカの軍事予算の半分以下である。アメリカがいかに軍備費に投資しているか想像がつく。その一方で、教育や気候変動対策などに関連する支出を大幅にカットする内容となっている。軍事費の大幅な増額は、イランへの軍事攻撃で大量の兵器や弾薬の補給が必要となると見られるが、国内世論からは反発も予想される。
現在のトランプ丸は、正に荒波の中を船出しようとしているようなものである。