民主化路線へ歩き出したビルマが今脚光を浴びている。アメリカを中心とする先進諸国による経済制裁を解除され、アジアで残された経済市場として、また自然資源供給国としてこれまで控えていた欧米先進国や、日本、韓国などが進出を考えている。軍事政権国家ビルマが経済制裁の合間に中国がビルマに広く進出し、その存在感は群を抜いている。かつては細々ではあるが、わが国も地道な分野で活動し、多くのビルマ国民に受け入れられていた。
しかし、中国の自己本位の開発計画などで中国は政権内部ではともかく、必ずしもビルマ国民の心を掴んでいない。ビルマ国民は、早く日本がビルマの再建計画や国の発展に貢献してくれることを望んでいることは、かつて何度もビルマを訪れ、ビルマの人々と親しく付き合っていて彼らの心情をある程度理解している私には推察できることである。
そのビルマへ昨日から12年ぶりで日本から直行定期便が就航した。漸く‘ANA Business Je’というビジネス客を対象にした特殊なフライトが飛び始めたところだ。ヤンゴン(ラングーン)空港は中国資本により新規建設され、かつて汚れて匂いの染み付いた時代物の懐かしい空港ビルに取って代わった。まだまだビジネスや観光のインフラは遅れて、ホテルなどは不足状態のようだ。私が訪れていたころは、外国人用のホテルは市内に僅か3軒しかなかった。それでも何とか需要に応えていた。現在日本航空も就航を考えているようだが、すでに韓国、台湾、シンガポールからも直行便が近々就航する予定で、そうなると市内のホテルが益々足りなくなることは明らかである。ビルマにとっては観光振興を図りたい反面、観光客に来てもらっては対応に苦慮するという笑えない一面もある。
しかし、航空路の開設と拡大によって少しずつでも交流が深まれば、いずれビルマと諸外国との経済交流が強まり、ビルマの経済発展に寄与することにつながっていくのではないかと期待している。