いま生活保護費の急激な上昇が問題になっている。その一因に不正受給がある。数ヶ月前にあるタレントの母親が息子に生活能力が充分あるにも関わらず、長年に亘って生活保護費を受給していたと指摘され話題になった。そのタレントは世間のブーイングを浴び、母親が受け取っていた生活保護費を返還した。これは生活受給の資格がない者が生活保護費の意味を都合の良いように解釈して、もらえるものならもらっておこうとのさもしい心根が批難されているのだ。同時にこれまであまり話題にもならなかった最低限の生活を維持していくための手当てが、あまり芳しくない原因から注目されるようになったわけでもある。前述した生活保護費の不正受給である。受給資格があるのかどうか公平な調査のうえ、法律に基づき、本当に生活できない弱い人々の生活を保証するなら、立法の精神が生かされる。その一方で、タレントの母親のような不届き者が現れると、折角善意で弱者を救済しようとの制度も悪用されるケースが増える。この1年間に違法に支出された生活保護費用は、全国で129億円に上ると言われている。
今日偶々駒沢大学の清田義昭講師が、北海道放送(HBC)がラジオ放送した「凍えた部屋」、即ち今年1月札幌市内のアパートで姉妹が死亡しているのが発見された原因と、その防止対策を追及した番組を録音で聞かせてもらった。これは健康を害した42歳の姉と、知的障害者で40歳の妹が主人公である。健康保険の適用も受けられず、収入がなく身体が弱った姉が亡くなり、それから暫くして世話していた姉の死により自力で何もできない妹が亡くなった。妹の死因は餓死である。この事実をHBCはなぜ生活保護費支払いの救いの手が差し伸べられなかったのかと問題を提起したものである。
不正受給を見抜くのは難しい。よほど慎重にして長い間身近にアプローチして監視しなければ、見抜けない。
今夜NHK「ニュース・ウォッチ9」でも生活保護費不正受給について報道していた。生活保護費を正当に受けられるケースと、不正受給の問題がこれからまだまだ増えそうである。