品川ロータリークラブから初めて講演依頼を受け、会場の「グランドプリンスホテル高輪」へ出かけた。ここはかつて「高輪プリンスホテル」と呼ばれていて、戦後竹田宮家跡地に建てられ、広い庭園もあって雰囲気も高級で中々格式が高い。ホテル全体の建物は再建され、内庭もきれいに手入れされ豪華になったが、古い西洋館風の建物だけが、以前と同じ場所にそのまま残されている。何とそこが、44年前妻とお見合いをした場所だ。感慨深い場所のひとつだ。今日の講演会場演台からも真下に見えたので、話の中でもつい脱線してお見合いの話をしてしまった。恥ずかしながら猿でもできる反省のひとつである。
実は、卓話と呼んでいる30分の講演をスタートさせようとしたところ、冒頭USBメモリーのパワーポント画像が中々PC画面上に現れず、些か慌てた。こんなこともあろうと、早めに会場へ来てテストをした時にはいつも通り何ら問題はなかったが、本番での失敗は取り返しがつかない。実際卓話はわずか30分なので、どうやって要点を圧縮してまとめたら良いか考えていただけに、最初に無駄にした10分近い時間がもったいない。結局卓話は時間切れになり、会員の方々にも惜しまれながら打ち切ることになってしまった。しかし、それが災い転じて福と成すの結果となり次回続編をお願いしたいとのお声をいただくことになった。
しかし、なぜパワーポイント画面が直ぐに現れなかったのか、どうも原因がはっきりしないだけに悔いが残る。次回チャンスをいただけたら今度こそ名誉挽回を図りたい。皆さんには楽しんでいただいたようなので、慙愧に耐えないというほどのことはないが、それでも心残りはある。
さて、昨日映画監督の若松孝二氏が交通事故で亡くなられた。ピンク映画で名を成したが、その後社会問題を風刺した問題作品をいくつも作り、その中で「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程」は2008年のベルリン国際映画祭で最優秀アジア映画賞を受賞した。2009年3月に埼玉県所沢で行われた、その連合赤軍作品鑑賞会で、高校ラグビー部の先輩である元全学連書記長だった清水丈夫さんについて若松監督と話をしたことがある。実力派の監督だったので、これからも社会の歪みをえぐるような力作を期待していたが、残念ながらそれも夢となった。
ところで、今朝の新聞で最も大きく取り上げられたのは、最高裁が参議院の一票の格差は違憲状態にあると判断を下したことである。これは一票の格差が最大の5倍となった一昨年の参院選をめぐり、弁護士らが「選挙区ごとの投票価値が不平等なのは違憲だ」として、各地の選挙管理委員会を相手に選挙無効、つまりやり直しを求めた訴訟に対する判決である。最高裁は違憲を認めながらも、選挙無効の請求は退けた。
最高裁は、昨年3月にも最大格差が2.30倍となった、2009年衆院選でも違憲状態と判断しており、これで衆参両院ともに違憲状態という異常事態となった。
今直ちに成すべきことは、国会で継続審議となっている参議院の「4増4減」案や、かねてより問題を投じていた衆議院の「一人別枠方式の廃止」法案の成立を図ることであり、その後に最高裁も強く求めているように、一日も早く抜本的な選挙区の見直しを行うべきであろう。
しかし、これこそが問題である。自分たちに降りかかってくる問題に対して、いつも腰が引ける国会議員が最高裁判所から違憲状態だと判断されても直ぐ腰を上げるかどうか、あまり当てにできない。とにかく自分の都合でしか動かない国会議員を今やまったく信頼することができない寂しい状況にある。
さぁ、どうする? 国会議員たちよ!