あれは、午後2時45分ごろだった。書斎で原稿を書いていた時のことである。突然グラグラッと家屋全体が激しく揺れ、ハッと外を見ると道路上の電線が上下に大きく揺れていた。スワ!地震だ!と階段を降り外へ出ようとしたら、振動がぴたりと止まった。あれから今日で15年になる。東日本大震災によって全国で災害関連死を含む死者・行方不明者は22,230人になった。震災による直接の死者は全国で15,901人である。だが、災害関連死者は今も増え続けている。
この大震災は多くの難問と課題を残した。まず、津波により自宅から避難した人が、今もって自宅へ帰れず、中には諦めて避難の地で復興を志す人たちがかなりいることである。単なる自然災害だけではなく、この災害が大きな課題を残したのは、原子力発電所が破壊されて原子炉内の核燃料が溶解したことにより、大量の放射能物質が放出され、その処理に手間取っていることと、汚れた核残土の処分にかなりの手間と時間がかかることである。
東日本大震災のケースは、自然災害のため事前に防ぎようがなかったこともあるが、問題を残したのは原発である。原発さえなければ、復興は遥かに早く進んでいたことだろう。政府もこれまで復興のための関連予算として約33兆円を計上した。原発関連問題が解決するまでは、まだ経費と相当の時間が必要である。
一方自然災害に対して、人災として人の命と経費を止めどもなく消費するのは、人間同士の殺戮合戦である。それは今最も世界中の関心を集めているアメリカとイスラエルによる、イラン攻撃とイランの反撃で明らかである。これは明らかにトランプ大統領が引き起こしている人災だと決めつけざるを得ない。連日中東地域における目に見える戦闘の外に、世界中の経済に大きな影響をもたらしている。特に原油の埋蔵量の多い中東地域のため石油価格の変動が激しいことである。それは戦争のために自由に運搬、輸出が出来なくなったことによるものである。今日も日本の三井船舶のコンテナ船がホルムズ海峡で損壊し、現地で動きが取れない。特に車社会の進んだアメリカでは、自業自得とも言える石油価格の値上がりで消費者が音を上げているのだ。石油情報に関連して世界の株式も大きく左右され、連日ウォール街では株価の上下が甚だしい。それに連れて日経平均株価も連日千円を超える変動幅で上下が繰り返されている有様である。原油価格は我々が意識していた1980年代は、1パレル=35㌦程度だったが、今や110㌦前後である。これも気持ちの変わり易いトランプ氏のせいである。
今年11月に中間選挙を控えるアメリカでは、国内に向けトランプ氏が物価の安定をアピールしてきた。ところが、1月にベネズエラを攻撃してから1バレル=60㌦近くにまで少しずつ原油価格が上昇し始めた。その後先月末にイラン攻撃を開始するや70㌦に上がり、遂には120㌦まで跳ね上がり、一昨日トランプ大統領がイランとの戦闘は終結が近いとの見通しを、公言するや90㌦にまで下がった。正に一喜一憂である。原油価格とそれに連動する物価は、トランプ氏の胸三寸である。こういう世界中の人びとを傷つけ、惑わすような人物から早く権限を剥奪することができないものだろうか。考えると頭が痛い。