1990.2012年10月24日(水) 若者は積極的に海外へ行こう!

 日経新聞朝刊の「私の履歴書」に、今月は高校の先輩であるノーベル化学賞受賞者の根岸英一博士が書いておられる。今日の文章では若者が研究活動に限らず、積極的に海外へ出ることを勧めておられる。昨年3月博士にお会いした際、旅行好きな点で大いに意気投合し、拙著「現代・海外武者修行のすすめ」を差し上げた時、「近藤さんはどんなところに行かれましたか?」と訊ねられ、ベトナム戦争中にベトナムへ行き、その翌年には第三次中東戦争直後で戒厳令下のアンマンでは、軍隊に身柄を拘束されたと申し上げたら、私にはそんな勇気はありませんがと笑いながら、とにかく何でも若いうちに海外へ行って外国を知り、外から日本を見てみることは自分を成長させるために大切なことであると仰った。その点で博士と大いに意気投合したものである。博士の言葉に勇気づけられ、若い人が多い大学の講演などではその点を説明して、できるだけ若者が海外へ出かけるよう、それもできるだけひとり旅を勧めている。

 実は心配されている日本の若者の現象のひとつに、遊びならともかく留学目的では外国へは行きたがらない傾向があるということである。アジアのインド人、中国人、韓国人らの留学生の数が増えているのに反して、アメリカで学んでいる日本人留学生の数が近年随分減少しているらしい。日本の若者の行動パターンには、チャレンジャー精神とか、積極性、行動力、向上心、国際性などが年々薄らいでいると言われている。若者が内向き志向になり、外部と言葉でコミュニケートしないで自分の世界、つまり内に篭る傾向がある。人と交わらず無機質な機器を介した交流まがいの会話で事足れりとしている若者が多いようだ。そんな会話は平面的で感情が篭らず、会話とも言えない会話に終わっている。人間関係の基本である、相手の目を見て相手の気持ちを考えながら話をし、相手の話を聞くことなどから逃避している。これでは相手の気持ちなんかわかる筈がない。こんなことを重ねていると人間の情緒や感情が判らないまま社会生活を送っていくことになり、それは自分が無感情な人間を演じていると同時に、接触する人々にも感情を伝えないロボット人間化を求めていることになる。こうなると人間として生まれながら人間としての使命を果たさずに朽ち果てるだけではないかと思う。ここ数日前から話題になっているパソコンによる遠隔操作が仮に蔓延ったりすると、人間は必要とされなくなるのではないかと考えてしまう。恐ろしいことである。

 機械化が進歩し便利になるなら、あくまでそれは機械に操られることなく、それを操る人間が幸せになることが前提でなければならない。今日のPCやら、IT文化の進歩はこのままで良い筈はない。それには自分の目で見て、自分の手で触れ、自分で行動して感じるという人間のベーシックな行動ができるよう行動しなければいけない。

 つい脱線してしまったが、若者だけに限らず、誰しも機会を捉えてどんどん海外へ出て直に自分の五感で異文化に触れるうちに、自ずから相手を慮る感情が培われるものである。

2012年10月24日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com