1989.2012年10月23日(火) 映画「恐怖の報酬」をテレビで60余年ぶりに鑑賞

 久しぶりに古いフランス映画をNHKで観た。サスペンス映画の「恐怖の報酬」で、カンヌ映画祭やベルリン国際映画祭でも、それぞれグラン・プリと金熊賞を受賞した秀作で、その当時まだ日本にこの種のスリルとサスペンスを描いたような映画は珍しかったために、大きな話題を提供した。シャンソン歌手イヴ・モンタンが主役で男優賞を獲ったことでも話題になった。日本で公開されたのは制作された翌年の昭和29年、高校1年生のころだったが、確かその翌年に藤沢市内の映画館でただ一人っきりで鑑賞した記憶がある。

 振動やショックに弱い危険なニトログリセリンを悪路の中、4人の男たちがトラックで輸送する仕事を請け負った、あらましのストーリーとどんでん返しのような結末ははっきり憶えていたが、その途中の息を呑むようなでき事と運転手仲間同士のやりとりはほとんど記憶にない。あれだけ話題作として楽しみに観たにも拘わらず60年余も経つと、こうも記憶力というものが頼りなくなるものかと些かがっかりしている。舞台がヴェネズエラの油田だったことも綺麗さっぱり忘れていた。モノクロ版だが、フランス映画にしては色恋沙汰もほとんどなく、今日の午後は息を詰めて2時間半ばかり魅入られてしまった。

 人間の記憶なんてこのように案外当てにならないものかも知れない。最近固有名詞が思うように口から出てこなくて往生することがある。これは年齢のせいもあり、同年輩の友人たちに尋ねてみても同じような回答が還ってくるが、やはり寂しいものである。

 さて、今日問題だらけの法務大臣・田中慶秋氏が辞職した。就任後僅か3週間でこのていたらくである。就任前からとかくの噂があり、大臣としての品性や力量が大分問題視されていたが、結局はそれが現実となった。野田首相の任命責任は重いと言わざるを得ない。北朝鮮拉致問題担当相としても、まったく任務を果たせなかった。与野党間の不信が募っている時だけに自民、公明党ら野党は政府に対して一気に攻勢を強めている。

 ところが、自民党でもおかしなことを考えている。正義は我にありと言わんばかりのポーズを取っているが、また「脱世襲」を取り止めようとしている。2009年の総選挙で、民主党から世襲批判を受けて次の総選挙から「引退議員の配偶者と3親等内の親族を同じ選挙区で公認・推薦しない」とマニフェストに盛り込み、一旦は世襲を原則禁じた。それが舌の根も乾かぬ内に、かなぐり捨てた。やはり過去に世襲制のおかげで政権を維持してきた自民党らしい姑息な考えである。改めて世襲の有り難味を再認識したのだろう。何とまあマニフェストの軽いことよ。実際今の自民党幹部にも世襲議員が多いが、新たに福田康夫・元首相や中川秀直・元幹事長の子息がほぼ公認されることは間違いないようだ。政治家業の世襲、たらい回しは止め処もない。

 これでは日本の政治家はとてもアメリカの政治家に敵わないと思った。2週間後に行われるアメリカ大統領選挙のオバマ、ロムニー両候補による最後のディベートが今日行われたが、彼らのすべてを佳しとするわけではないが、政治家としての理念、論点整理、論理構築、弁舌、などどれを取っても彼らにはとても太刀打ちできまい。率直に言って日本の政治家とは器と力量が違うという印象を受けた。

 日本の政治家にもう少しまともになってもらうためには、時間を置いた選挙だけではなく、政治家に対する国民による毎週の活動を採点する一定の通信簿が必要ではないかと考えている。選良であるべき議員数の大幅削減も必要だ。そんなことも真剣に考えるべきではないか。

2012年10月23日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com