今朝の新聞はどれも一面と社会面は石原都知事関連記事が満載である。テレビも各局とも石原報道で持ちきりである。これほど言動で影響力の強い政治家は、今や石原知事と橋下大阪市長をおいて他にはいないのではないか。知事には強い語調で決め付けるような発言が多く、時として反発や顰蹙を買うことが多いが、かなりの部分で頷ける点もある。「硬直した中央官僚の支配体制を変えないとダメ。役人と戦っていかないとこの国は沈んでしまう」とか、「国とかかわる行政に関してはほとんど国の妨害に遭って、非常に苦しい思いをした」と官僚の手法に手厳しい。昨日の記者会見でも各省庁を片っ端から批判していた。前原誠司・国家戦略担当大臣に対する個人的な非難はボロクソだったが、よく両者の言動を比べてみるとこれも石原知事に分も、理もある。
だが、大きな話をする割りに具体的な目標やその進めかたが漠然としているように思える。これに対して各政党では都知事という後ろ盾が無くなった石原氏は恐れるに足らずと、ほっとしたような空気も窺える。
中国や韓国も従来反感を持って石原知事を見ていたが、ここへ来て知事を右翼政治家とか、極右と騒ぎ反って国政舞台へ出てくることを警戒している。だが、しかし、中国の言う右翼というのは、むしろその逆で最近の中国こそ左翼から転じて、今では中庸から大きく外れ「右翼」的になっているのではないかと思う。
石原知事はどうしても徹底的にやっつけるという気持ちが強いせいか、その手法が強引で一方的に思える点でかなり損をしているのではないかと思っている。今すぐ可能性や、結果が表れるわけではないが、規模は小さくとも石原氏の行動が政界に大きなインパクトを与えることによって、政治の流れがもう少し国民寄りになれば、石原氏の投じた一石は効果があったと見るべきであろう。
さて、昨日注目のプロ野球のドラフト会議が開かれ、来年プロ野球界へデビューする新人選手の指名を行った。気になったのは、高校生投手として史上初めて最速160㎞を投げ、先日アメリカ大リーグ入りを表明した花巻東高校の大谷翔平投手を、日本ハム・ファイターズが敢えて強行指名したことである。聞けば、大谷投手は家族や周囲が日本球界入りを勧めたのに、自らが大リーグでプレイしたいの一念を押し通し大リーグ入りを決断したそうである。にも拘わらず少年の決意を配慮することもなく、むしろ有無を言わせず強引にドラフト指名して自球団入りを推し進めようとする球団は、ルール上は許されるにしてもあまりにも浅はかだとしか言いようがない。更にプロ野球界には、もしアメリカで成功せず日本へ帰ってきてもお灸をすえて、一定期間入団を認めないという意地悪なルールもある。まったく維新による開国以前のような感覚である。料簡が狭いというしかない。
ファイターズが指名した理由のひとつには、野球界には高卒球児に直接大リーグへ行かれては、日本球界に有能人材が枯渇すると考えている節があるからである。しかし、それは日本球界が若者にとって魅力に欠けるからであり、自分たちは反省もせず、それを高校生の責に帰すかの言動は正しくない。
今朝の日経紙「春秋」も、「18歳という若さは見たこと、触れたことを自分のものにする力が一生のなかでも旺盛なときだ。一流選手の技やプレー姿勢を貪欲に吸収してほしい。それが日本球界の財産にもなるだろう」とアピールしている。若い高校生をとやかく言うより、プロ野球界こそもっと大人になれ!と言いたい。