個人的に国民性、独立の歴史、そして市街の雰囲気などに愛着を感じている国がある。今国内に多事多難な問題を抱えている国、ミヤンマーとキューバである。いずれも政治的な苦境を乗り越えて国造りを成し遂げた歴史的経緯がある。ただ、ミヤンマーはアウンサンスーチー国家顧問の国民民主同盟(NLD)が国家を安定的に束ねていたが、5年前に軍事クーデターにより国軍が権力を握り、政界から排除され、スーチー氏の所在はいまだ不明である。爾来軍部が国内に圧制を敷いている。国内には少数民族の抵抗など、対立が先鋭化している中で軍部が国民を抑圧し、国民は息苦しい生活を送っている。前向きな若者らにとって耐え難い生活環境に国を逃れる者が増え、中でも日本に在住するミヤンマー人が増え続けている。この5年間に日本国内在住のミヤンマー人は3倍以上に増え、今では15万人以上のミヤンマー人が日本で暮らしている。私は過去に30回近くミヤンマーを訪れているが、戦時中は日本軍に支配、統治されて対日独立戦争を勝ち取ったにも拘わらず、親日的なミヤンマー国民が多い。この国には優しく温かい人が多く、人柄の好い友人との想い出もたくさんある。
軍事政権は、このところ見掛け倒しの総選挙を行って国民の賛意を得たことにしているが、すべて軍の意図通りのヤラセである。軍部が居座っている限り、残念ながらミヤンマー国民はとても幸せな生活を送れるとは思えない。
一方キューバは、カストロ元大統領が逝去する1か月前の2016年に1度訪れたことがあるが、訪問前に考えていたイメージとは随分異なっていた。国にはあまり自然資源がなく経済的には大分窮していたが、市民からは暗いイメージは見えなかった。確かにGDPは少なく、国民の所得も少ないが、国民生活を補うべく国民を支援する生活面の福祉的な補助がかなり国民を救っている。カストロ以下国家の上層階級の所得もそれほど多くはなく、国全体として全般的に国民の所得に大きな差がないことであり、加えて公共的な教育費や医療費は無料で、大学まで無料で進学できる。食料も安い配給制が普及している。更に住宅費も国から支援され、それほど多くの収入がなくとも暮らせるような仕組みになっている。電力不足から夜の街は暗いが危険なイメージはない。また、いずこの道路もいつもきれいに掃除され、ゴミひとつ落ちていない清潔さを保っている。この国は、創建者であるカストロ氏に私利私欲がまったくなく、カストロ家の資産もほとんど国へ寄付してしまった。人間的にも共産革命を成し遂げるには最も適した人物だったと言えよう。そのカストロ氏が国政を司っていたので、国民は盲目的にカストロ氏の言動に従い、尊敬し、ある程度のレベルの生活を送ることができたと思う。
今そのキューバにとって厳しい試練となりかねないのは、アメリカがベネズエラを支配しつつあることで、ベネズエラの豊富な石油施設を抑え、アメリカが対立関係にあるキューバへの石油輸出を停止することである。カストロ氏がかつて医師だったこともあり、キューバには医師の数が多く、国内の医療だけではなく、外国へ医師を派遣して外貨を稼いているような一面もある。私利私欲の権力者プーチンや習近平、金正恩らには、とても真似のできない清廉潔白さである。しかし、今はキューバも経済的に苦しくあまり明るい見通しが見られず、残念ながらミヤンマー同様にこの国からも海外へ脱出する人が増えている。今朝の新聞によれば、2020年には1,100万人だった人口が、その後減り続け、今では約825万人程度にまで減少したとニューヨーク・タイムズ紙の報道がある。
その点では、日本は一部の悪ガキ支配層の言動を除けば、そう生活がし難い面はそれほど見られない。幸せと言えるのかどうかは分からないが、ミヤンマー、キューバよりは遥かに幸せであると言えよう。その意味では来月の総選挙には心より信頼できる候補者に1票を投じたいと思う。