今や世界中どこを向いても景気の良い国はあまり見当たらないが、それに違わずわが国の景気低迷も長引いたまま一向に前途に光が見えない。今朝の朝日新聞トップ記事が「パナソニック7650億円赤字」とある。日経紙でないところがミソで、社会的にも大きな問題であることを窺わせる。しかも、副題を見れば、赤字額は何と2年間で1.5兆円とある。それを受けて今日のパナソニックの東証株価はストップ安となった。更にトップ記事から少し離して「電力8社6736億円赤字」の記事がある。これは、電力会社10社のうち8社の中間決算損益合計額であり、通期になるともっと惨めな決算になる可能性が高い。
これではいよいよ日本沈没ではないかと先行きが気がかりである。これから中間決算が発表されるに連れ、ぞろぞろ赤字企業の決算が公表されることになるだろう。
企業活動が停滞すると当然のことながら賃上げどころか、ベースアップ中止とか、ボーナス・カットとなり、サラリーマンに皺寄せされ、サラリーマンの生活は苦しくなる。その結果、全体の消費購買力は下がり経済需要が落ち込み、不景気の連鎖が起きる。
ところが、民間の賃金水準が下がる中で、役人の給与は普通まず下がることはない。今年になって政府は消費増税を控え、国民の苦境に鑑みて国家公務員の給与削減に踏み切った。しかし、地方公務員にまでは削減を求めなかった。そのため何と公務員の平均給与は、地方が国を上回る現象が9年ぶりに明らかになった。期末手当を除く単純比較でも、国家公務員の月約37万円に対して、地方公務員は月約42万円だそうだ。一般的に全国約1800自治体の8割以上が国家公務員より平均給与が高いらしい。特に政令都市の中で最も高い横浜市は、国より12.2%高い。年齢、男女割合、最初の決定額などにそれぞれ特有の事情があり、一概に決め付けることはできないが、国から交付金として地方に資金が回されるとすれば、地方自治体も国に合わせて給与を削減するのが筋である。それにしても役人は生涯身分を保障され、それほど成績に左右されることもなく、これだけ民間との間に大きな格差が生じるのは、誰が何と言おうと根底に根強い官尊民卑の気持ちがあるからだろう。
これらの情報に歩調を合わせたかのように、東京都の本日付広報紙に表とグラフ付きで「都職員の給与の状況」を懇切に説明している。
それを読めば官尊民卑を否応なく納得させられる。23年度普通会計の人件費総額が、何と1兆5千億円超である。私が大学へ入学した昭和34年度の国の一般会計予算1兆4千億円を悠々凌駕しているのだ。
都職員の給与は、毎月の定額給料に地域手当という一人当たり平均月額支給額61,180円が加算され、その他に通常の扶養手当(配偶者13,500円、その他子ども手当て)、住居手当8,500円、通勤手当、管理職手当て、特殊勤務手当て、超過勤務手当てなどが加えられ、その他に年2回高額のボーナス支給が行われる。
この結果、職員の月額平均給与は、一般行政職で46万円強(平均42.3歳)、警察職にあっては、実に54万円弱(39.7歳)という高待遇ぶりなのである。
そのうえ、定年時には多額の退職金も支給される。60歳まで勤めて平均で3千万円超の退職金が得られる。給与体系が良いのは歓迎されるべきことではあるが、それらの原資ははっきり言って税金である。民間企業の感覚からすれば、自分たちだけの都合で内輪で高待遇を決めるのには、正直言って釈然としない気持ちが沸いてくるのも致し方あるまい。在職中予算に追われ、厳しい営業活動に追われていたサラリーマンだった立場からすると、これを以ってしてお役人天国と言わずして何と呼ぶべきか考えざるを得ない。何とも羨ましい限りである。まったく親方日の丸ではないか。今度生まれ変わったらお役人になるか。