アメリカのシンクタンク「国際教育研究所」の報告書によれば、2011~12学年度にアメリカの大学や大学院に在学した日本人留学生は前年度比で6.2%減となり、7年連続で減って、初めて2万人を下回ったという。近年積極的に海外へ出かける若者の数が減少気味で、各界から将来の若手育成という観点で懸念されていた。それが、単に海外旅行者の減少ではなく、異国へ研究に、また自分の力を伸ばすため、更に自分の潜在能力を引き出すために留学しようという学生が年々減るということが現実となった。海外渡航が自由化されなかった学生時代に何とかしてアメリカへ留学してみたいといろいろ手を尽くしてみた私にとっては、掌中の宝をむざむざ捨てるようで、その気持ちが理解できないし、悲しい現象であるとすら思っている。
これに引き比べて中国人留学生は前年比23.1%増で約19万人、3年連続1位だというから驚く。やはり中国でも経済的な余裕さえあれば、子どもに高等教育の機会を与えようと親は考える。その場合かつてはソ連へ留学させていたのが、今ではライバルとなったアメリカへ留学させるようになった。やはり共産主義国家の中国人も能力を伸ばそうと考えれば、公正な競争と自由に研究ができる民主主義国家・アメリカこそが、自分を磨くうえに一番効果的であると考え、アメリカに一目も二目も置くようになったのだ。
かつてアメリカへの留学生はインド人が最も多かったが、今や中国人が一番となり、アメリカへの外国人留学生の内約1/4が中国人だそうである。サウジ・アラビアのように国が学資を援助して若者のアメリカへの留学を積極的にサポートしている国もある。この傾向が続くと日本人学生は中国人ばかりでなく、新興国の学生にもどんどん追い越されていくのではないかと、些か気になる。
さて、一昨日午前ビルマでM6.8の地震があった。ビルマの優しい人々を考えると心が痛む。これまであまりビルマの地震は意識したことがなかったが、今度は中部サガイン(メディアではザガインと呼んでいる)地方で発生した。サガインはマンダレイの110余㎞ほど北上した地域で、かつて旧航空隊の慰霊団にお供しては、昔の飛行場跡で亡くなられた日本兵たちのために慰霊祭を行った都市である。砂埃の中をエアコンなしの古いバスで3時間半ほどかけて揺られながら出かけたものだ。灼熱地獄のようなところだったとの強い印象がある。この地震で死者が10名を超えたとの報道もある。大きな被害がなければと願う。
今日駒沢大片山正彦講師による「誤報・虚報と情報操作」の講義があったが、その中でイラク戦争が始まった1991年1月に、油にまみれた海鳥の写真が世界中の新聞に掲載され世界中に衝撃を与えたが、日本でもテレビや新聞で事実として報道された。イラク空軍の攻撃で石油タンクが破壊されて流れ出た油で海が汚染されたというものだった。それをそのまま事実として今日まで受け入れてきたが、実はこれが作為による誤報だったとはまったく知らなかった。真実はどうだったのだろうか。これこそショックだった。一寸情報収集が甘かったと反省している。