6782.2025年12月7日(日) トランプ大統領に「平和賞」だと?

 今年は、ベネズエラの野党指導者マリア・マチャド氏がノーベル平和賞を受賞することが決まっている。ところが、マチャド氏はテロ行為に関与したとして、反政府主義者と国から睨まれ監視されて外出も出来ず、果たしてノーベル賞授賞式に出席できるか否か、難しいところである。反米左派のベネズエラには、麻薬対策としてトランプ政権が圧力を強め、アメリカ海軍艇が海上で遠巻きに包囲している。一触即発の物騒な空気である。そこへ何とアメリカのトランプ大統領が、昨日「平和賞」を授与されたとの報道に度肝を抜かれた。だが、トランプ氏が欲しがっているノーベル平和賞ではない。トランプ氏へ授与される「平和賞」とは、国際サッカー連盟(FIFA)が、ほんの1か月前に設けた「FIFA平和賞」で、ほとんどの人が知らない間に、昨日ワシントンD.C.のジョン・F・ケネディ・センターで行われた2026年サッカー・ワールドカップの組み合わせ抽選の場で、インファンティーノFIFA会長からトランプ大統領へ突然伝えられ、トロフィー、メダル、賞状が直接手渡されたのである。

 日本のメディアでもその抽選は、昨日一部伝えられたが、その場にトランプ氏が座っている理由が分からなかった。どうもFIFA会長のワールドカップにトランプ氏の支持を得たいとの思惑で、この平和賞設置がどれほどFIFA内で議論され、トランプ氏に最初の受章者に決定したことに賛意を得たのか、まったく分からない。

 その受賞の席で、トランプ大統領は図々しくスピーチを行ったが、いつもながらに「自分が外交的に介入することによって、数千万の命を救い、戦争を勃発直前に阻止してきた。これはまさに私の人生における偉大な栄誉のひとつだ」と、自らの行動を過大に礼賛するだけだった。

 さすがに海外のメディアからは厳しい批判が相次いでいる。特に露骨に非難しているのは、アメリカの全国紙「USA TODAY」で、「FIFAが創った偽物だろうと、トランプは平和賞にふさわしくない」のタイトルで、ノーベル平和賞を切望していると伝えられる大統領に向けて「FIFAの平和賞とやらをじっくり味わうがいい。あなたが手にする唯一の平和賞だから。誰も驚かなかったが、トランプはFIFAがおだて上げるためにでっち上げ『まったく真剣に受け止められていない賞』を受賞した」と痛烈に皮肉っている。カタールのアルジャジーラ紙は、「インファンティーノのトランプへの平和賞、FIFAの中立性に疑問を提起」の見出しで、トランプ氏は受賞の前日にカリブ海でベネズエラに致命的な空爆を命じたことや、数日前には、ソマリアの人びとを「ごみ」と呼んだり、パレスチナ人への周知の虐待にも拘らず、イスラエルへの武器供与を続けていると批判した。

 オランダの全国紙は、「この『平和賞』は、インファンティーノFIFA会長がトランプ大統領にごまをするため、わずか1カ月間前に急遽創設された。しかも、この賞には候補者もいなければ、審査員さえいない」と厳しく指摘している。

 今日の朝日朝刊にも一面と二面に大きく取り上げられ、一面には「スポーツと政治接近 祭典に影」と書かれている。

 純粋なスポーツであるサッカーにも、今後怪しげな忖度とか、政治的な介入が懸念される。トランプもトランプだが、FIFAもFIFAである。ウソばかりつき、身勝手な言動ばかり冒している大統領を、民主主義国家を自称するアメリカがよくも黙っているものだ。

 議会で弾劾決議によって大統領を追放することは可能であるが、過去に事例がないようだ。トランプ大統領にこのままやらせ放題で残り3年余を我慢するより仕方がないということだろうか。最後にアメリカ国民にトランプ大統領について彼らの本音を聞いてみたい。

 このままトランプ氏を大統領の座に留まらせていても良いのだろうか?

2025年12月7日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com