自民党、日本維新の会の連立合意の基本事項である衆議院議員1割削減法案が、与党内でまとまったようで両党とも承認した。それによると法施行から1年以内に結論を出すとしているが、各党の思惑もあり、中々難しいのではないだろうか。
国民民主党は、それと同時に企業・団体からの献金を規制する案を、公明党とともに共同で提案している。問題は、各党なりにプラス、マイナス面のある定数削減と合わせて、選挙制度改革をプラス面の多い大政党に有利な改革を自民党がリードしようとしていることである。現在衆議院は、小選挙区と比例代表が並立する選挙制度を実施している。小選挙区は大規模な政党が有利とされ、比例は少数政党が議席を得やすいとされている。特に維新が、自民党に自らの立場を考えずに大政党に有利な定数削減の対象をすべて比例区からと提唱したことである。自民党も流石に受け入れられず、小選挙区25名、比例代表区20名で折り合いをつけた。今年度補正予算も決まり、今後政党間ではこの議員定数削減が大きな課題として議論される。
ところで、10月末にメディアでひとつの事件があった。BS朝日の討論番組「激論!クロスファイア」で、首相指名選挙を控えた高市早苗・自民党総裁の発言について、司会者の田原総一朗氏が「あんな奴は、死んでしまえと言えばいい」と過激な発言をした。その結果、BS朝日は、数日後に臨時取締役会を開催し、田原氏の発言は政治討論番組としてモラルを逸脱していると判断し、謝罪の言葉を述べ、当の番組自体の放送を思い切って終了することを決めた。同時に番組はVTR収録のため不適切な発言を編集でカットすることが出来たが、番組担当者がそれを怠ったとして番組終了後関係者に懲戒処分を課した。
本音を言うなら、私も以前から高市氏にはそう思わせるような発言があり、話し方とともにあまり好感を抱いていなかった。友人の中にもそう思う友人は大分いる。その後高石氏が首相に就任して国会で、台湾有事につき踏み込んだ発言をして、中国を怒らせ対立する事態を引き起こした。田原氏も常日頃から、政治家と接触していて高市首相の言動に眉を潜めていたのではないかと推測できる。
日中間の政治的対立は当分の間解決しそうになく、現在の高市首相の行動からは再び同じように軽率な発言が飛び出すように思えてならない。昨年卒寿を迎えた田原氏はまだまだ健在で、その真っ当で政治家に厳しい持論は高く評価されている。それにしても2017年以来毎週日曜の夕刻に放映されていた名物番組がテレビから姿を消すのは、何とも惜しい気がしてならない。BS朝日の素早い結論も、田原氏の発言が強引で無礼な点はあったにせよ、番組打ち切りまでやることはないように思う。自民党との関係を悪化させたくないという思い込みからではないかと思う。これもやはりメディアの政治家への過剰な忖度ではないかとも考えられる。