6780.2025年12月5日(金) リンカーンを排除し、後釜にトランプ?

 アメリカ国内のみならず、世界中に利己主義、フェイクニュースのような悪質な言動を繰り返しているアメリカの身勝手なトランプ大統領に関する皮肉と悪しき言動が、昨日の朝日「天声人語」欄に紹介された。

 来年はアメリカ合衆国が独立してちょうど250年になる。この機会にトランプ大統領は、最小単位の通貨である1セント硬貨の16代大統領リンカーンの肖像デザインを終了することを決めてしまったのである。1セント硬貨の製造には3.69セントもかかることを理由にした。新コインの製造に何セントかかるのかを明らかにしていないが、トランプ大統領はリンカーンの後釜の肖像デザインだけさっさと決めてしまった。

 1度訪れたことがあるアメリカ・サウスダコタ州のラシュモア山の岩山に、4人の歴代大統領の彫像があり国立記念碑とされている。4人はジョージ・ワシントン、トーマス・ジェファーソン、セオドア・ルーズベルト、エイブラハム・リンカーンで、いずれもアメリカの歴史上その功績が忘れられない偉大な大統領である。中でも最もアメリカ人が尊敬する大統領はリンカーンである。奴隷解放をやり遂げ、南北戦争による国家分裂の危機を避けた大統領としてすべての年齢層から慕われ支持されている。その一方で、歴代大統領44人の中で最も人気のないのが人種差別化を実施しようとしているトランプ大統領である。リンカーンとトランプはともに共和党選出の大統領であるが、どうしてこうも支持が両極端に別れてしまうのだろうか、不思議な想いがする。

 そのトランプ大統領が1セント硬貨の肖像リンカーン大統領に代わって、誰に決めたが興味のあるところだが、まさかと思える決断をした。何とトランプは、自らを1セント硬貨の肖像に決めたのである。開いた口が塞がらないとはこのようなことを言うのだろう。

 「天声人語」氏もその臆面のなさにはまったく恐れ入って二の句が出ないようだ。更に国連で自分こそがノーベル平和賞に相応しいと押し付けがましい欲望を語ったことや、二酸化炭素ガスの排出が地球温暖化に大きく影響しているとの「パリ協定」から、中国と並ぶCOの最大排出国でありながら、一方的に協定から離脱するパフォーマンスには世界中が呆れている。そんな我が儘、ウソツキで不人気な大統領が、卑しくもアメリカ人から最も尊敬されているリンカーン大統領を押しのけて、自らがその後釜に収まろうとの図々しさには、言うべき言葉もない。

 ところで、お金については日本にもすっきりしない疑問がある。取り立てて問題視されたこともないが、お札の肖像に少々首を傾げたくような疑問がある。それは昨年7月から新1万円札の肖像画に、聖徳太子、福沢諭吉に次いで明治の財界人、渋沢栄一が収まった新札を発行したことである。確かに渋沢は、幕末から明治にかけてまだ日本経済がよちよち歩きの時代に、多くの事業を興し外国との交渉にも辣腕を発揮して、明治日本の経済界の大きな推進役を担った。業績だけを評価するなら余りあるであろう。だが、1万円札とは有難く押し頂いて使う我が国最高の価値あるお札である。大人はもとより、子どもでも使うことがある。その最高金種の目立つ表面に業績面はともかく、多くの妾を抱え、妻妾同居をしたり、一部には20人以上の子どももいて私生活が並外れて乱れモラルに欠けていた、渋沢を取り上げるのは如何であろうか。人間的なモラルの問題は気にしないということなのだろうか。渋沢を肖像に取り上げることに関して、関係者は揃って賛同したのだろうか。もう少し真っ当な生活を送った真面目な人物を選んだ方が良かったのではないかと私は今も疑問を抱いている。

2025年12月5日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com