池袋メトロポリタン・ホテルで開かれた学校法人豊昭学園創立60周年記念式典にお招きいただいた。同学園が経営する東京交通短大の特別講義に毎年1回だけ講師を務めているご縁でお呼ばれしたものだ。同学園は東京交通短大のほかに、付属の昭和鉄道高校、及び豊島学院高校を経営している。交通というより、鉄道に特化した全国でも珍しい個性的な学園で、鉄道好きな高校生が全国から集まり、定員割れの多い全国の短大の中でも、同短大の入学希望者は定員を充足している。ところが、大学の後輩でもある副学長・松岡弘樹教授の話によると問題は、入り口は良いが出口の就職が厳しいことだと渋い顔をされていた。同短大卒業生はほとんどが鉄道会社志向である。近年鉄道会社は機械化の普及により新規採用を押さえ気味なので、鉄道会社を目指す彼らにとって就職戦線は茨の道だと思う。ただ、こういう専科で鉄道好きな学生が学んでいるユニークな短大であるので、何とか学生が安心して勉学に、就職活動に身が入るような環境造りと就職対策をやってもらいたいものである。
今日の式典の中で専門家による貴重な講演があった。家田仁・東大工学部教授が「国際的視点から見た日本の鉄道とその将来」のテーマを、元国鉄技術屋さんらしい視点から話されたが、内容が中々新鮮で興味深かった。特に、鉄道インフラ事業の海外展開として、日本人は海外で鉄道敷設を請け負う際どうしてもハードとソフトを一体化してパッケージ方式で受注したがる傾向があるが、相手国の国情や海外の高額物件商談という点を考えると、日本人が安全面からもこだわりがちな一括請け負いを考えるより、パーツで商談をまとめる方が成果が上がると話されたのには意外な感じがした。その実例として台湾の新幹線のケースを話された。
また、専門的であるが、分野間の「せめぎあい」という言葉を使って、技術が進歩して高度なものと高度なものが組まれた製品が、必ずしも最高の品質とはならないと話されたことが強く印象に残っている。
来月1日に今年度の講義があるので、できるだけ学生にパンチが利いて、少しでもヒントを与えられる話をしてみたいと考えている。
さて、昨日の野田首相の解散宣言で、各党は一挙に選挙ムードに突入した。石原慎太郎・前都知事の「太陽の党」結成に続く、第三極の動きもめまぐるしい。今日は「減税日本」と「新党きづな」「国民の生活が第一」に動きが見られた。「日本維新の会」の橋下代表は、どうも「太陽の党」と「減税日本」が連携しそうなことが面白くないらしい。またもや民主党から離党する議員が出ている。衆議院解散を鬼の首でも取ったかのようにはしゃいでいる安倍晋三・自民党総裁のような無神経な世襲政治家もいる。動いているのは政治屋ばかりで、国民はしらけきった様子である。こんな永田町界隈の動きに対して、震災被災地では、復興への道筋が半ばなのに、選挙なんかやっている場合ではないとの当たり前の批判的な声が上がっている。
中国では今日習近平新体制がお披露目された。中国共産党の総書記以下の重要ポストも決まり、来年3月には国家主席ら国家の最高ポストも決まるようだ。いつまでも日本の政界がもたもたしているようだと、益々世界から置いていかれてしまう。