衆議院解散により各政党は一気に総選挙モードに突入した。世評では政権政党の民主党は離党者が絶えず、このままでは第1党はもちろん望むべくもなく、野党に落ちて議員数も相当減らすだろうとの見方が強い。取って代わるのは、政権奪還を狙う自民党で、いずれにせよ現時点では政権交代の可能性はかなり高いと思う。
それ以上に今回の総選挙で広く関心を集めているのは、橋下徹・大阪市長が代表を務める「日本維新の会」と東京都知事を辞めたばかりの石原慎太郎・党首の「太陽の党」の、第三極の流れと影響力である。
それが、今日唐突に驚ろかされたのは、その2つの党が合流すると発表されたことである。つまり、石原新党と橋下新党が手を結び一つの政党として、民主・自民党ら既成政党を相手に総選挙で戦おうというのである。まさかこれほど性急にことを進めるとは思いも寄らなかった。まだ、提携するにはまとめるべき政策課題が沢山残っていると思っていただけに意外なスピードぶりには些か驚いている。石原氏が再三繰り返し言っていた「小異を捨てて大同に就く」に納得して踏み出したのだろうか。発足したばかりの「太陽の党」を敢えて解散までして「日本維新の会」へ合流するというのもびっくりである。代表は石原氏、副代表が橋下、幹事長は「日本維新の会」の松井一郎氏、国会議員代表は「太陽の党」の平沼赳夫氏だが、果たして他の第三極を目指す会派とともに政策協定を結びながら、どれほどの風を巻き起こし、台風の目となることができるか。
石原代表はすでに80歳でかなり高齢であり、自身最後のご奉公と言っているように、短期決戦で第三極の道筋さえつければ佳しとしているのかも知れない。
ただ、既成政党にとっては自分たちの縄張りの中で、談合して票を分け合っていたような政界だけに、まったく異質な政治家集団が切り込んできたことは、彼らにとっては衝撃であろうし、政界には新風を吹き込むという点で意味のあることだ。
今の政治は世の中の動きに大きく後れて国民の信頼を失っているだけに、この大転換期に際して新しい政治の風と流れを呼び起こし、社会をリードして政治に対する信頼を回復して欲しいものである。
その点で石原・橋下新党の影響力はどうなのか、注目して見てみたい。