昨晩遅くなって腹痛を覚えトイレに何度か行ったが便通順調ならず、痛みを歯を食いしばって我慢してしまった。臍の下部周辺がしきりに痛む。うだうだしていたが、結局眠ってしまった。ところが、今朝になっても痛みが去らない。今日は初めて生涯学習教室「木曜会」から「世界遺産の旅」の講師を依頼されていたので、難しい局面に立たされた。こんな痛みは初めてだったので気になり、どうにかして早く医者に診てもらいたかった。「木曜会」は初めてだったので、会場にもパワーポイント機器設定と調整のため早めに行きたいと思っていた。
とにかく9時のオープンと同時にかかりつけの森医師に診てもらったところ、あまり心配することはないとの診断だったので、3種の薬をもらって、その後新宿区中落合にある落合第二地域センターへ出かけた。
先月品川ロータリークラブで卓話を行った時は時間切れで話が中途半端に終わってしまったので、今回はかなりスライド画面を事前調整して準備していた。幸い時間的に最後をぴたりと締めることができ、まずまず楽しく視聴していただけたのではないかと思っている。事前にお願いして準備してもらっていたパワーポインターのプロジェクターと持参のPCとの相性が悪く、画像を出力しないのには一時当惑した。だが、こんなことも稀にはあるだろうと予備用に自分のプロジェクターも持参していたので、それを代用して使い、スムーズに問題なく講演を終了することができた。参加者からも話も映像も楽しめたとのお声をいただいたので、まずまずほっとしている。講義中懸念していた腹痛も感じることはなく、責任を果たすことができた。
今日の意外なお年玉は、この会場近くに「林芙美子記念館」があって見学することができたことだった。折角近所まで来て、しかも時間的にも見学することができそうなので、覗いて見ることにした。財団が管理していて見学者は案外少ないようだった。林芙美子が昭和16年から亡くなった昭和26年の10年間生活していた、幸いにも戦火を免れた和風住居である。総坪数は525坪で2棟の総建坪は60坪である。見学料金は僅か150円で、しかもボランティァ・ガイドが説明してくれるという。早速建物と庭園を観て回ることにしたが、ここの記念館は林芙美子の文学館というより、むしろ記念館という名の通り今やほとんど無くなってしまった、文豪林芙美子が居住していた純和風の土地家屋等の施設そのものを紹介することを期待しているように感じた。
感心したのは、芙美子の趣味や好みを採り入れた家の造りと樹木や花が丁寧に植えられた庭である。静かな環境も素晴らしく、よく手入れがなされている。細かい点にまで気を遣って設計されていることが分った。ガイドさんに尋ねてみると、川端康成のような文豪が訪れた際に、新聞記者とは顔を合わせないような造りが施されていると説明を受けてその細心さに感服した。
ただ、文学館ではないので、芙美子が夫・林緑敏と交わした絵葉書がショーケースに飾られている程度で、直筆で書かれた原稿用紙がなかったのが、ちょっと残念な気がした。その点で林芙美子文学ファンとしては若干物足りないと思うかも知れない。しかし、豊かな樹木に飾られた静かな環境の中に建てられた昭和の日本建築と和風庭園を期待以上に楽しませてもらい林芙美子ワールドをしばし味わわせてもらった。