衆議院が解散されてから安倍晋三・自民党総裁のカラ元気の良さが妙に気になる。一般的には来月の総選挙は自民党が勝つと予想されているので、本人はもうすっかり総理大臣気分になって浮ついているような雰囲気がある。確定してもいないその重職に就く前から、すでに過激で無責任な発言を度々繰り返しては世間を惑わせ顰蹙を買っているのである。勇み足と言ってもいい。
特に最近の発言を聞いても何故元気なのかよく理由が分からない。5年前には任期半ばで総理大臣職を突然放り出し、その直後には自殺未遂の噂も流れて鬱病気味で逼塞していたのが、まるで嘘のようにこの期に及んで何ゆえ元気を取り戻したのか、その方の話を聞きたいくらいのものである。
安倍総裁の右翼志向は以前から伝えられていたことでもあり、その超保守派ぶりは取り立てて騒ぐほどのことではない。しかし、現在の経済市況の中でデフレ脱却を声高に叫び、現在ではまったく権限のない日銀に対して治外法権的に金融緩和のため国債の日銀購入をアピールし、それが安倍氏を利するかの如く証券市場に好影響を与えて株価が上がり、円安が進んで本人は「それ見たことか」とばかり大得意である。更に自らが首相になったら日銀法の改正も考えると発言し、これには流石に白川方明・日銀総裁も不快感を隠せない。
安倍氏は遂にこんなことまでしゃべくっている。「最近の10年間で私が総理であった時が株価もGDPも最も高かった」と自慢たらたらである。よくもこんなことが平気で言えるものである。これこそ暴走総裁ではないか。今の自民党内にはどういうわけだか総裁の言動にブレーキをかける人間がいない。デフレ脱却のためには市場に資金をつぎ込むことが大切で、輪転機を廻してお札をどんどん印刷したら良いなどと経済の仕組みが分らない小学生がよく質問するようなことを平気で言うのはどういう神経だろうか。流石に専門家も呆れている。評論家・池田信夫氏は大学生なら誰でも知っているこの程度の経済常識も知らないのかと些か呆れているが、テレビ朝日の「報道ステーション」でも、コメンテーターの朝日新聞解説委員・三浦俊章氏が総理大臣になろうとしている人の発言としてはいかにも軽いとコメントしていた。
憲法改正まで持ち出して、現在の自衛隊を国防軍と改称するという具合に、時間をかけてじっくり国民の声を聞かねばならない重要課題をいとも簡単に結論づけて、次の国会で憲法を改正するとまで悪乗りして喋るので駄馬も止めようがない。
実際危険な人物である。こういう世間知らずの総理大臣失格人間が、再び次期総理大臣かと想像すると空恐ろしくなってくる。
それにしても自民党はこんな危険人物を総理候補に選んでおいて、その言動についてノーチェックとはあまりにも野放しが過ぎるのではないだろうか。
ところで、今日は東北・関東地方を中心に深夜から午後8時過ぎにかけて何度か地震があった。偶々東急二子玉川駅前の東急ライゼ7階のイタリア・レストランで妻と夕食中の午後5時59分、突然千葉県北西部を震源地とするM4.9の揺れがあり大きな衝撃に襲われた。一瞬店内はざわついたが、直ぐ店員がこのビルは免震性があると知らせてくれたので落ち着きを取り戻した。さほど心配はしなかったが、やはりまだ昨年の大震災の余震が続いているのだろうか。どうにも気になるところである。