2024.2012年 11月27日(火) 終戦翌日の讀賣新聞「社説」

 今年の駒沢大の公開講座も今週が最後だが、今日は2つの講座を合体してそれぞれ担当の菱山郁朗講師と片山正彦講師が代わる代わる交替して講師を務め、現在日本が抱える大きな問題として挙げられている、憲法改正、原発、中国問題などについて受講者の意見や考えを聞きながら授業を進めるスタイルを採った。僭越ではあったが、私も60年安保闘争に参加した忸怩たる経験から感じ取った考えとして、現行憲法に対する一般的な理解の現状と、憲法と安保条約の関係などを話し、改憲に反対する持論を述べさせてもらった。

 冒頭菱山郁朗講師が資料を配布してくれた。終戦翌日・8月16日付「讀賣報知新聞」だった。当時の新聞は裏表の1枚紙だったと思うが、その一面に「鈴木内閣総辞職」「阿南陸相自刃」「休戦協定連合軍代表マッカーサー指名」等々の鮮烈な歴史的トピックスが掲載されている。更に社説には「気力を新たにせよ」と題した一文が載っている。当時の讀賣新聞論説委員で、何と菱山講師のご尊父が書かれたものである。以前話には伺っていたが、このような玉稿を手にして興奮すら覚えた。菱山講師もこのような名文を書かれた父上を尊敬されていると話されていたが、最も心を打たれたのは、敗戦が決まってからほとんど時間的余裕がない中で、翌日の朝刊に敗戦の現実と今後の日本の歩むべき道筋、そして日本人が再起するために、政治の安定と若返りについて書き、提言していることである。

 予想もしなかった現実に、慟哭し悲憤痛憤した中で狂騒にかられることなく、何を置いても堪忍が大切だと切々と訴えている。筆者の心中を思うと切ないものがある。

 終戦でしゅんとなった当時の日本国民の惨めな気持ちを思い、日本の再生を誓った国民心情を考え、改めてこの新聞に目を通すと今の日本人は当時の人々の気持ちを忘れてしまったような印象を受ける。その意味では、このような当時の新聞記事を精読することによって歴史を学び、未来観を育み、しっかりした日本観と自己思想を構築することができるのではないかと考えた。学生たちに対しても昔の新聞を何度も読み返して、当時の人々の心情を斟酌するような研修の仕方を考えてみてはどうだろうか。

 さて、今日の授業の中でさわりとして述べておられた政界第三極の一分が、また大きく動き出した。嘉田由紀子・滋賀県知事が「日本未来の党」を立ち上げると発表した。第三極の中でも「日本維新の会」と脱原発構想で相容れなかったために、「脱原発」を旗印に新たな仕掛けを行ったのである。夜になって早速小沢一郎氏が代表を務める「国民の生活が第一」が合流を決断した。更に毀誉褒貶の激しい「脱減税党」も合流を視野に入れているようだ。まだまだ一波乱も二波乱もありそうで、当分目が離せそうにない。

2012年11月27日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com