6719.2025年10月5日(日) 高市新総裁は保守志向を貫けるか?

 昨日自民党の新総裁に選出された高市早苗氏の話題で、メディアは忙殺されている。何といっても日本の憲政史上初めて女性総理大臣が誕生する話題に、関心が寄せられている。それは海外でも報道されているが、物珍しさで取り上げているだけで、フレッシュさや、指導力、実行力の点ではあまり期待感が見られない。ドイツのシュピーゲル紙は、「東京の鉄の女」と紹介し、女性指導者がほとんどいない国で大きな勝利と評しながらも、高市氏が女権運動に関わらず、保守派で国家主義者と伝えた。フランスのフィガロ紙は、自民党のタカ派であり、低迷する経済に展望が描けないと厳しく指摘している。イタリアのドマーニ紙は、イタリア初の女性首相メローニ氏も右派であるが、高市氏をメローニ首相に準えて「日出ずる国のメローニ」と冷やかし半分に報道し、外国人問題や家族観で保守的な姿勢をとっているとコメントしている。残念ながら高市氏の能力や実行力に期待しておらず、それぞれにかなり右翼的な人物と捉えている。

 その高市総裁は、国内では完全に極右と見られている。

 特に、①憲法上の「戦争の放棄」などの条項を削除して、自衛隊ではなく国防軍と明記することを求める、憲法改正推進論者である。②歴史観は、靖国神社への参拝を継続する意向である。日本が戦争へ歩み国民を存亡の危機に陥れ、植民地支配と侵略によってアジア諸国に多大の損害と苦痛を与えたことを反省し、心からお詫びの気持ちを表明した村山談話に否定的である。③安全保障についても防衛費を増額し、敵基地攻撃能力に関する法整備を推進する。④王室の皇位継承に関しては、男系男子による継承を維持し、旧宮家の皇籍復帰を支持し、女性宮家・女系天皇には反対する。⑤今話題の選択的夫婦別姓に反対し、旧姓(通称)の利用委拡大を主張して官公庁や企業に旧姓使用を認めさせる法整備を進める。以上のように頑なに保守的思考を主張し、実践している。

 この点で連立を組んでいる公明党の斎藤代表は、昨日選出後訪れた高市総裁に厳しい注文をつけた。斎藤代表は政治とカネが選挙で大敗を喫した原因であると指摘した。政策協議を進める上で、特に靖国神社参拝が現実に外交問題に発展しているとして、懸念を表明した。斎藤代表は、「政策協議で一致すれば連立政権になるが、今の段階では何とも申し上げることは出来ない」と消極的なコメントを述べた。

 選挙前までは、5人の候補者がそれぞれ他候補を批判したり、揶揄するようなことはなかったが、これからは真剣勝負である。

 高市氏は、しきりに「ワーク・ライフ・バランス」を捨てるような発言をして「働いて、働いて、働いて・・・」と精一杯働き続けると語ったが、仕事と育児、介護仕事以外の生活などとのバランスを取る生き方を否定した一時的なアピールでは、国民に受け入れられず長続きしないのではないか。

 まだ現時点では高市総裁に過酷な質問はない。しかし、今後裏金問題関係者を取り込むような発言をしていたことを考えると、果たしてそんな考えで長期政権を続けて行くことが出来るだろうか。

 どことなく危なっかしい印象を受ける高市総裁の前途である。

2025年10月5日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com