セルビアから一時帰国している大学の同級生・山崎洋さんを囲んで平河町のフランス・レストラン「オープロヴァンソー」でゼミの仲間を交えて6人で会食をした。カボチャのスープは美味しく、ステーキも柔らかくとても食べやすかった。デザートも洒落たケーキで食事は充分堪能した。
彼は同じ大学の同じ学部の同級生であるが、在学中はお互いに知らなかった。出会ったのは、40年以上も前に旧ユーゴスラビアを訪れた際、彼に通訳をやってもらい、お互いに名乗り合ってお互いが同級生という奇遇であると分かった。それ以来交流を深めている。ほぼ毎年のように日本へ戻ってくるので、付き合いは通り一遍のものではない。ゾルゲ事件のリヒャルト・ゾルゲの同志だったブランコ・ド・ブケリッチの遺児である。
今回は、奥さんの仕事が大分あり、16日の離日まで約2か月間の滞在は大分長いようだが、滞日生活を楽しんだようだ。いろいろ尋ねてみると間もなく終幕となる万博にも駐日セルビア大使館の招待で訪れ、偶々セルビア館を訪れたセルビア大統領に、俳句についてセルビア語で説明した著書を差し上げたそうである。万博自体開幕当初はあまり人気がなかったが、このところ盛り上がって入場者は増える一方で、ほぼ万博協会が目指した予定の入場者数に達しそうである。京都大学でも奥さんが講演し、出雲神社も訪れたという。昨年他界された小中陽太郎さんをともに偲ぶことも出来た。
普段は、メールで交流を深めているが、80歳を過ぎて大学の友人、しかも外国で生活している友人とこうしてじっくりインテリジェントな話をできることは、得難く有難いことである。今回は8月に横浜で奥さんの歌詞発表のコンサートを鑑賞する機会をいただいた。来年もぜひ一時帰国した際には、何かを企画するか、食事でもしながら旧交を温める楽しい機会を作りたいと思っている。まだまだお互いに元気なうちは、会って話し合い、前向きに生きて行きたいと思っている。
さて、先日アメリカがイスラエルとハマスに提示した停戦案について、イスラエルは直ぐ受け入れると返答したが、ハマスは今日になって漸く回答を出してきた。ずばり‘NO’である。この調停案は、イスラエルの支援国、アメリカが考え提案しただけに、イスラエル寄りであることがはっきりして、ハマスが受け入れるかどうかは、あまり期待出来るものではなかった。好戦的なイスラエルは、調停案を提示されてもガザ地区への攻撃を続けている。BBCによれば、ハマスの軍事指導者は、戦争終結に向けて20項目からなる和平計画が描かれているが、それはハマスの武装解除と戦後ハマスがガザ統治に関与しないことを求めており、イスラエル寄りの和平計画であり、ハマスにとっては到底受け入れられるものではないと語ったと伝えている。特に、ハマスに48人のイスラエル人人質が拘束されており、提案では、停戦開始から72時間以内に人質全員をイスラエルに引き渡すことを求めているが、これはハマスにとって唯一の交渉材料となっているだけに、この提案に応じるうえでの障壁になっている。アメリカとアメリカが支援するイスラエルの合意に、トランプ大統領はイスラエルが和平計画の合意条件を遵守することを保証するとしているが、ハマス側は人質が返還された後に、イスラエルが軍事作戦を再開するのではないかとの不信感が強い。それは、9月9日にイスラエルがカタールの首都ドーハでハマスの幹部の暗殺を試みたことも影響している。疑心暗鬼なのである。このままではとても停戦、和平への道は厳しい。トランプ大統領の「ノーベル平和賞」受賞は金輪際無理だろう。