日本では今やや争点のない自民党総裁選にメディアが振り回されている程度の騒ぎである。
しかし、世界ではイスラエル軍のパレスチナ・ガザ地区地上攻撃で住民が逃げ回ったり多数の死者を出し、国連事務総長からもジェノサイドと言われている。ウクライナを攻撃しているロシア軍機がエルトリアやポーランドの領空侵犯を冒すような危ない状況でNATOが対策を検討中である。
ちょうど開催中の国連総会でもイスラエルと将来のパレスチナ国家が共存する、「2国家解決」に関する国際会議が開かれ、イギリス、カナダ、オーストラリアなどに続き、今日フランスがパレスチナを国家として承認した。これで主要7か国(G7)の中で3か国が承認したことになる。
アメリカ言いなりの日本は岩屋外相が、現時点での国家承認を見送る方針を示した。何となく気持ちが通じるのか、第2次世界大戦中3国同盟を締結していた日独伊の3か国は、同じ行動をして「パレスチナ国家」承認を見送った。
これらの動きに対して、トランプ大統領は「国連は問題を解決するどころか、アメリカが解決しなければならない問題を作り出している」と逆恨みのような発言をして、国連や反米的行動を示す国を批判している。団結を呼びかける声を無視し、自身の外交努力を国連はあまり支援してこなかったと不満も吐露した。自画自賛を繰り返し、他国を名指しで批判しないという国連の不文律に違反しながら1時間に亘って自分はすべてにおいて正しいとして他国をやり玉に挙げるような演説をした。他国の環境、移民政策を強く批判し、挙句にこういう国は地獄に向っているとまで非難した。この人の頭の中には「協調」、「友好」、「平和」などという言葉が浮かんでこないのだろう。
そんな折、隣国韓国では強力な宗教指導者が逮捕される事件があった。それは、昨日世界平和統一家庭連合(旧統一教会)のトップの地位にいる韓鶴子総裁が特別検察官によって逮捕されたのである。一昨年安倍晋三元首相が暗殺されたのは、犯人の母親が旧統一教会へのめり込み多額の財産を寄付して犯人の家庭生活が苦しくなったが、その旧統一教会と安倍元首相がつるんでいたとして犯人が安倍元首相に逆恨みをしたことが話題をさらった。しかし、選挙の都度旧統一教会と自民党の緊密な関係が、中傷を受けることがあった。
韓総裁が逮捕されたのは、尹錫悦前大統領夫人や側近へ不正な金品の供与に関与していた疑いである。旧統一教会の韓国内における存在は大きく、ソウルから約60㎞の京畿道の山腹にバカでかい宮殿のような教団の施設がある。合同結婚式と称して相手の人柄や性格なども知らないのに大勢のカップルと一緒に結婚させられる信徒も多い。
韓総裁は教団の創設者・亡夫文鮮明との間に7男7女の子女をもうけ、その子どもたちの間で主導権争いが起きているという。あまりにも教団への強制的上納金が多額で、信徒の間でも不満が燻っているようだ。日本の旧統一教会も国内で大きな組織となり、上納金も多額となって、それが本部の大きな財源となっているようだ。日本では、前記事件の他にも信徒の母親が財産を教団へ寄付して家庭破産事件が度々起こり、残された家族が訴えて、すでに国内の旧統一教会には、裁判所から解散命令が下された。これに対して教会は控訴しているが、確定したら本部の運営にもかなり差支えが出て来ることだろう。これから収監された韓総裁はどういう処遇を受けるだろうか。韓国ばかりでなく日本の信者にも大きな影響を及ぼすだけに、注目されている。