毎年1度だけ講義を引き受けている東京交通短期大学の「特別教養講座」で、今日「海外ひとり旅のすすめ」と題してパワーポイントを使用しながら、1時間40分間学生相手に私のひとり旅体験をベースにした講義を行った。臨場感、現場に行かないジャーナリスト、大事件の予知、現場体験で培われる勘、読書のすすめ、手紙と日記を書く習慣をつけること、等々について持論を話した。
担当の桑原賢二助教がかつて私の下で働いていてくれた関係もあり、遠慮なくスムーズに打ち合わせすることができるので助かる。松岡弘樹副学長も交えて就職問題を話し合ったが、同短大では学生が交通関係企業への就職に拘る傾向があるので、採用数も減りつつある鉄道会社などの事情を考えると、全般的に就職が年々厳しくなってきたと実態を話していただいた。
そういう厳しい就職環境の中にある学生を対象に、思い切って海外へ武者修行してみろと薦めてもどれほどの効果があるかは分からないが、例え少なくとも若いうちにどんどん海外へ出かけ、外国人の考えを直に知ることは将来的にも決して無駄ではない。若者には少しでもそういう事情を分ってくれて海外へ出かけ、多くのことを掴み取って欲しい。
さて、昨日は外出していたので残念ながら総選挙を前に、開かれた11党による党首討論会をテレビで観ることはできなかった。雨後の筍のように乱立した政党が、既成政党に対してどれだけ自らの公約を主張して独自性を訴えることができるか関心を持っていたが、朝令暮改のように主張がころころ変わるので些か戸惑いを覚えるほどである。
今日一番がっかりしたのは、発足したばかりの「日本未来の党」の嘉田由紀子代表の発言である。これまで嘉田代表は脱原発という以上に卒原発を主張していた。当初は原発再稼動を認めない立場から協調していたと思っていたところ、その後「日本維新の会」の橋下副代表と袂を分ったのはそもそも脱原発に対する考え方に大きな違いを感じたからである。嘉田代表は断固原発再稼動に断固反対の立場にいると思っていた。事実昨日の党首討論では、「大地を汚し、ふるさとを奪う原発から卒業する。10年後までの卒業を目指す」とまで述べていた。しかも「日本未来の党」副代表は原発再稼動に終始反対してきた、環境エネルギー政策研究所所長である飯田哲也氏である。
しかるに今日午前テレビの嘉田代表の発言は、「原子力規制委員会が安全性を担保し、必要という判断を政府がした場合には再稼動になる」とこれまでの主張を180度ひっくり返してしまったのである。はっきり言って、今日嘉田代表は国民に対して大きな嘘をついたことになる。よくもまあこんな嘘をテレビで国民に向かって平気で言えるものである。これまで学者らしく誠実に知事職をこなしてきたと考えていたが、いざとなればこんな裏切り行為を堂々と行う人間なのだということを世間に暴露した。
これほど1日で国民を騙した人はあまりいないのではないだろうか。大人しく、実直そうな雰囲気を漂わせていながら、やることはヤクザも顔負けではないか。「日本未来の党」なんてとても信用できない。