2031.2012年12月4日(火) 社会資本基盤のインフラ整備は大丈夫だろうか。

 一昨日中央自動車道の笹子トンネル内で、天井が落下して通行中の車の中で9人が亡くなるという悲惨な事故が発生した。過去にこのトンネルを何度か車とバスで通ったことはあるが、どうしてこれだけ大きな事故になったのか分らない。専門家はトンネル完成後すでに30年以上を経過しているので、材質の劣化による一般的な老朽化が原因と見ている。トンネル内には厚いコンクリートの天井が上から吊るされ、その上には通気用と排気用に分けられたスペースがあるたようだが、素人考えからすれば、その天井にどうして軽量のアルミのような素材ではなく、重いコンクリートを使用したのかどうしても理解できない。理由はあろうが、仮にアルミなら死者が出るような大惨事になることもなかったのではないだろうか。

 今朝の朝日「天声人語」にこういう話が紹介されている。「アルプス最高峰、モンブランのトンネルを車で走ったことがある。約4千円の通行料より時速50~70㌔、車間150㍍という厳格な規制にたまげたものだ。1999年の火災事故(死者39人)の教訓と聞いた」。

 実際2003年6月に私自身添乗員としてバスでヴェネチアからイタリアのアオスタを経てこのモンブラン・トンネル(11.6㎞)を通りフランス領シャモニーへ抜けたことがある。この時われわれのバスは長距離を走ってきたせいだろうか、やや車体が熱くなっていた。そのため入り口前の車体検査所?で引っかかり、外で冷却時間を取らされた。しばらく後にもう一度検査を受けたところ規定内の車体温度に冷却化したということで通行することを許された経験がある。これも事故の教訓に基づく安全対策のひとつであった。

 これも「天声人語」が指摘しているように、大惨事が起きたからこそ安全基準が見直し厳格化されたのである。笹子トンネル事故もこれから検証が行われ、反省点が出されて新しい安全基準が示されるだろうが、首都高速道路の橋脚などの老朽化も懸念されて久しい。だが、未だに手がつけられない有様である。今改めてトンネル内の安全基準について、問題が提起されたが、同じような構造で、しかも竣工後30年以上を経過したトンネルは国内にかなりの数に上がるようだ。国の予算が逼迫している最中に、一斉にトンネル安全工事を行うにしても予算が足りないのではないか。

 こんな時今日公示された衆議院総選挙の選挙公約の中で、自民党は国土強靭化基本法として事前防災・減殺対策を推進するとした。金額こそ明確に提示されなかったが、本音は以前から度々俎上に上がっている10年間で200兆円である。これに呼応して自民党が勝利したら与党となる公明党がやはり日本復興を旗印に、10年間で100兆円の予算を提示している。

 自然災害国日本では、やはり常に社会基盤のインフラ整備に気を配って先手を打たないと、実際に天災が降りかかってきた時には何ら成す術がないということになる。だが、1年間で10兆円とも20兆円とも言われる巨額の金額を、土木投資に注ぎ込んで、厳しい財政事情の中でその他の重要な予算に支障を来たさないだろうか、選挙後の対応になるが些か気がかりである。

2012年12月4日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com