先日石破首相が辞意を表明してから、その後任を巡る自民党内の暗躍や思惑が目まぐるしい。昨日の総務会で次期総裁選について、国会議員だけではなく全国の党員、党友も投票出来る「フルスペック」方式と呼んでいるルールを採用して、国会議員259票、党員・党友259票の投票によって総裁選は行われると決定した。その間当然時間がかかるために、秋の臨時国会召集は来月中旬にずれ込む見通しである。首相の後釜を狙った党内有力候補者も大体5名になりそうである。このためしばらく政治は空洞化すると思われる。
どういうわけだが、日本で首相が辞めるのに合せたかの如く、外国でも首相が辞めざるを得なくなった国がこの数日間にいくつかある。そのひとつは、バイル内閣が発足9カ月で国民議会の信任投票で否決され総辞職したフランスである。フランスは大統領制であるが、内閣がそう簡単に崩壊するようでは、マクロン大統領の地位も穏やかではない。
その他に、首相が度々変わるタイである。長年権力を揮っていたタクシン元首相が追放されてから妹、娘が首相の座に就いたが、その元首相も拘禁刑により収監され、新首相に長たらしい名前のアヌティン・チャーンウィラクン氏が就任した。
そしてネパールである。発端は、政府が主要なSNSアプリの使用を禁止したことに抗議する若者のデモが拡大して、オリ首相の辞任表明に発展した。しかし、真の原因は、1年前に大金を投じて閣僚用の住宅を建てたことに、反感を抱いた群衆が議会になだれ込み、政界有力者の自宅も標的にしているという。貧困層が恵まれない中で、政府高官が贅沢三昧の生活を送っているようでは国民の怒りに火を点けるのも当たり前のことである。
石破首相の場合は、選挙の大敗を受けて責任を取らされて自主的に辞意を表明したものであり、党内に不穏な空気はないが、首相後継者争いは正々堂々と党内の信任を争ってもらいたいと思う。
さて、混乱が続いている静岡県伊東市議会でまたひともめあった。今月1日に市議会で不信任の議決を受けた田久保真紀市長は、本日付文書により市議会議長、及び副議長に対して議会の解散を通知した。これにより市議会は解散され、40日以内に市議会選挙が実施される。
予想された通り市長と市議会のイタチごっこである。この結果市議会議員が新たに選出されるまで、市の議案はすべてストップとなり、市政は大きく遅れることになる。前議長と前副議長は、大義なき解散で時間と金の無駄であり、これらの決定は市民のためというより自分ファーストであると厳しく批判している。
いずれにせよ、国内有数の温泉観光地である伊東市も随分評価を下げたものである。市政の遅れと財政の無駄遣いにより、市政も苦しくなる一方である。伊東市民からも市長解職の署名がかなり提出されていたが、総合的に考えて田久保市長は、自分自身の学歴詐称が事の発端であることに思いを致して、市政の遅れは自らが招いた過ちだったことを宣言して謝罪のうえ、市長職を退くべきであろう。こういう無能な市長を選出したのは市民自身であるので、市民にも責任があるが、余りにも行政を停滞させた悪名高い市長は、市の歴史に永遠に不名誉な汚名を遺すことだろう。