夕方5時18分ごろ大きな地震があった。昨年の東日本大震災(M9)と同じように自室でパソコンに向かっていた時、突然ぐらぐらっと来た。大分長い時間揺れていたので、ガラス戸を開け外を見たら、電線が大きく揺れていた。室内でも本と木彫りの人形が床へ落ちた。直ぐテレビを観ると強い口調で緊急地震速報を流していた。震源地は三陸沖合いで、マグニチュード7.3ということだが、幸い震源地に近い東北地方でも大きな被害はなかったようでほっとしている。渋谷では震度4だった。昨年の大震災の余震という話もあったが、ニュース番組は選挙どころではなかった。ともあれ大災害にならなくて良かった。
さて、昨日の大手新聞各紙が総選挙の当選者数を予想し、自民党の過半数獲得を挙げたことに対して、当の自民党はもとより他政党にも戸惑いと複雑な気持ちが見られ、その異常なまでの受け取り方は些か滑稽ですらある。いとも安易に過半数超えを予想された自民党では、安倍総裁以下執行部が気持ちの引き締めに懸命の様子である。
各社の情勢調査は以下の通りである。朝日「自民、単独過半数の勢い」、毎日「自民、単独過半数の勢い」「民主激減、第3党は伸び悩む」、読売「自民 過半数超す勢い」、日経「自民 過半数の勢い」「民主は半分以下も」「第三極、浸透に遅れ」、産経「自民、政権奪還の公算」「民主激減、第三極も伸び悩み」等々である。確かにこれでは自民の圧勝であり、執行部が気持ちを引き締めようとするのも理解できる。
自民党では石破茂・幹事長が各候補者へ向けて「本日の朝刊各紙に自民党が優位である旨報道されているが、万が一にもこのような報道に気が緩むことのないように、最大限の緊張感を持って全身全霊で選挙戦に臨まれたい」と引き締めに懸命である。一方で、第三極の「日本維新の会」や「日本未来の党」らの伸び悩みが目立っている。これはこれで当事者から戸惑いや不満が出ている。
その大きな理由に総選挙の争点と見られ、票を左右すると見られていた原発問題が、大同小異ながら「脱原発一色」になり、争点がぼやけたことが挙げられると思う。それが無難な政策を掲げる自民党がパッシブに伸びた原因ではないか。実際各党の原発に関する選挙公約は、思惑はあろうが文言上ほとんど差が見られないように思える。
因みに12党の原発公約を要約すると、民主「30年代に原発稼動ゼロ」、自民「10年以内に電源構成のベストミックスを確立」(分り難い表現だ)、日本未来「卒原発。10年以内に完全廃炉」、公明「可能な限り速やかに原発ゼロ」、日本維新「脱原発依存(政策実例に30年代までにフェードアウト)」、共産「即時原発ゼロ」、みんな「電力自由化で20年代に原発ゼロ」、社民「原発稼動はただちにゼロ」、新党大地「原発ゼロ」、国民新党「安全性が確認できない原発は即時廃炉」、新党日本「原発廃炉を新しい公共事業に」、新党改革「原発に依存しない社会を構築」である。これでは凹凸もなく、とても争点にはならない。原発即反対を唱えている政党にとっては、折角の得点稼ぎを徒にしてしまうような公約横並びである。
これは社会保障についても同じことが言える。社会保障では各政党ともほとんど争点となる公約らしいことは言っていない。特に酷いのは自民党で、たったの4項目しか挙げていない。①消費税収は社会保障以外には使わない。②生活保護の見直し(給付水準の原則1割カット)、③年少扶養控除の復活、④年金の官民格差を是正する年金の一元化、だけである。民主党が公約にしている年金、医療、生活保護については一切見て見ぬふりである。自民党が政権政党に復帰したら恐らく弱者切捨てを推し進めるのではないだろうか。
結局原発問題を見ている限り、これではどの政党も代わり映えしないということになるのか。